【ロンドン=加藤美喜】ロシアのエネルギー依存脱却を目指す欧州で、原子力発電所の新設や延長の動きが出ている。ロシアのウクライナ侵攻を受け、エネルギー安全保障の観点から電力自給を高める狙いだが、高コストや安全面から懸念の声も上がっている。
英政府は7日発表の新エネルギー戦略で、2030年までに最大8基の原発新設を承認する方針を表明。50年までに電力需要の25%を原発で賄う目標を掲げた。洋上風力や太陽光、水素エネルギーも促進し、30年までに電源構成の95%を低炭素エネルギーにするとしている。
ジョンソン首相は7日、訪問先の英南西部ヒンクリーポイントC原発で、新戦略について「われわれは世界の原油や天然ガス価格の変化に左右されず、プーチン(ロシア大統領)の脅しにも影響されてはならない」と説明。8日にもロンドンでドイツのショルツ首相と会談し、エネルギー自立の重要性を強調した。
英国では現在、6発電所で11基の原発が稼働し、電力供給の約15%を占めるが、老朽化で多くが数年以内に運転を停止する予定。新戦略では次世代型の小型モジュール原子炉(SMR)の開発も推進し、「英国が再び原発技術で世界をリードする」としている。
11年の福島第一原発事故後、ドイツが「脱原発」を決定するなど各国で原発の新設は見送られてきたが、新型コロナウイルス拡大後...
残り 570/1139 文字
この記事は会員限定です。
- 有料会員に登録すると
- 会員向け記事が読み放題
- 記事にコメントが書ける
- 紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
おすすめ情報
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。