「世界は黒人の命に偏見」 ウクライナ支援に絡んでWHO事務局長

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世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は13日、黒人と白人に影響を及ぼしている緊急事態をめぐり、世界の関心に偏りがあると訴えた。
テドロス氏は記者会見で、ロシアが侵攻したウクライナに対する支援について、「世界全体に影響を及ぼす」ことから「とても大事」だとした。
一方で、人道危機に陥っているエチオピアのティグレ州やイエメン、アフガニスタン、シリアは、ウクライナと同等の注目を受けていないと指摘。ウクライナに対する支援のごく一部に相当する支援しか、これらの人道危機には寄せられていないと述べた。
そして、「黒人の命と白人の命について、世界は本当に同じだけの関心をもっているのか疑わしい」と発言。
「率直に言って、世界は人類を等しく扱っていない。人類は平等だが、特別扱いを受けている人というのは存在する。これを指摘するのは心が痛む。目に見えることだからだ。非常に受け入れ難いが、現実だ」と続けた。
ティグレ州の人道危機
テドロス氏はエチオピア・ティグレ州の出身。同州については国連が、救命のために1日にトラック100台分の人道物資の供給が必要だと判断していると、同氏は述べた。
ティグレ州では2020年11月に、エチオピア政治を30年近く支配してきた地域政党ティグレ人民解放戦線(TPLF)と政府軍による戦争が勃発した。
これまでに多数の民間人を含む数千人の死者が出ており、人道支援を切実に必要としている人は数百万人に上っている。連邦政府は救援活動を妨害していると非難されている。
すべての戦争当事者が超法規的な処刑を実行し、性暴力をふるっているとされる。
その他の紛争でも
一方、国連はイエメンについて、世界最悪の人道危機だとしている。
アフガニスタンに関しては、2400万人が生存のための人道支援を必要としていると認定。
内戦が11年間続いているシリアについては、死者が50万人近くに上り、何百万人もが住む家を失ったとしている。
ロシアがウクライナに侵攻して、14日で50日目になる。
戦争犯罪について調べている国際刑事裁判所(ICC)の検察官は、首都キーウ(キエフ)近郊ブチャを訪れ、犯罪現場だと述べた。アメリカのジョー・バイデン大統領は、ロシアがウクライナでジェノサイド(集団虐殺)を実行したと非難している。