前の記事で岸田政権が防衛費大幅増額を公言し、それに立民の泉健太や×××新選組の山本太郎らが同調する発言をしていることに触れた。それを世論も支えているらしい。4月の日経の世論調査で下記のような結果が出ていたことを知った。
しかし、これは実にとんでもない話なのだ。GDP(国内総生産)が専ら使われるようになる前の、GNP(国民総生産)が指標として用いられていた時代から1%枠を守るか超えるかがずっと議論されてきて、結局一時期1%をほんの少し超えた程度で、以後はまた1%以内に収まった。半世紀続いたそんな惰性力を一気に変えてしまおうという、乱暴きわまりない政策なのである。
知恵蔵「GNP比1%枠」の解説
GNP比1%枠
1976年、三木武夫内閣の「当面、(防衛費は)国民総生産(GNP)の100分の1に相当する額を超えない」とする閣議決定による方針。52年には駐留米軍経費を含みGNPの2.78%だった日本の防衛関係費は、その後GNPの急上昇、米軍の縮小によりGNP比率では低下し、67年に1%を切り、70年には0.79%まで下がった。政府は「防衛費はGNPの1%以下」とPRしたが、その後GNPの上昇は鈍化。一方、人件費や兵器の単価は高騰、防衛費の対GNP比は、87年度ついに同年のGNP見通しの1.004%となった。その後GNPの伸びと防衛費の頭打ちのため、2007年度ではGDP(国内総生産)見通し額の0.916%となっている。
(田岡俊次 軍事ジャーナリスト / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
また、下記はWikipediaより。
防衛費1%枠
防衛費1%枠(ぼうえいひ1パーセントわく)とは、日本の防衛費を国民総生産(GNP)もしくは国内総生産(GDP)の1%以下に抑制する政策。
概説[編集]
GNPに対する防衛費は、警察予備隊を保安隊に改組した1952年度予算の2.78%から、徐々に減少を続けていた。1961年度以降は1.2%で推移しており、1967年度以降は1.0%を切っている。
防衛計画の大綱のもとで防衛政策を推進する毎年度の予算枠として、1976年11月に三木内閣 (改造)によって閣議決定されたのが1%以内の枠である。算定は、石沢芳次郎・首席参事官が行った[1]。
三木以降の歴代内閣も予算編成にあたってこの枠を踏襲して防衛に努めたが、いわゆる「新冷戦」(21世紀以降の新冷戦とは異なる)と呼ばれる米ソ関係の緊張と日本やヨーロッパ諸国の経済成長にともない、1980年代からアメリカ合衆国による同盟国への要求として、1986年12月に第3次中曽根内閣が撤廃を决め、翌年の1987年度予算編成から総額明示方式へと転換した。
しかし政策の撤廃後も、防衛費がGNP比1%を超えたのは1987年度から3年度連続で1%を超えた例しかなく、その数値も1.004%、1.013%、1.006%と僅かな超過にとどまっている[2]。この時は一斉に他の西側各国も軍事費を引き上げ、それに呼応するようにソビエト連邦も軍事費を引き上げた。
なお、参考として、北大西洋条約機構は加盟国に対して国内総生産(GDP)の2%以上を防衛費とするよう要求しており、2021年時点ではGDP比2%の数値目標を達成した国が全30加盟国中11カ国に増加している[3]。
中国の急速な軍拡や、北朝鮮による核・ミサイル開発などの安全保障への脅威増大に対応するため、第49回衆議院議員総選挙に向けた自由民主党の公約において、NATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)を念頭とした防衛関係費の増額を目指すことが初めて明記された。[4]。
その後の2021年度補正予算案では防衛関係費に7738億円を充て、当初予算とあわせると6.1兆円(GDP比では1.09%)となり、わずかではあるが1%以上を達成した[5]。
この問題は「世界の警察官」であり続けるのに必要な国力を失いつつあるアメリカが、軍事費の一部を「同盟国」に肩代わりさせようとしていることから発していることは自明だが、多くの日本国民が直視していないのは、日本の国力はアメリカどころではなく急落しているという事実である。
そんな時に軍事費(防衛費)の大増強をやった場合、間違いなく降りかかってくるのは社会保障や福祉の削減だ。
以下は日経の記事についた「はてなブックマーク」より。
防衛費増額「GDP比2%以上」 賛成55%、反対33%
いつも福祉については財源について同時に議論が行われるが、この件については財源の話が出てこないのは何なのだろうな。どこから金をひねり出すつもりなのか。
2022/04/27 11:44
これらの懸念に対し、安倍晋三は「国債で賄えば良い」と言っているとのこと。
誰かを思い出さないか?
そう、山本太郎である。
山本も防衛費増額には肯定的な発言をした。山本も「国債で賄えば良い」とか「どんどんお金を刷りなさい」とかいうスタンスだろう。
私は財政均衡論には与しないが、野放図な国債発行にも与しない。国債の利払いは紛れもない逆再分配になるからだ。
昨今は第2〜4次安倍内閣時代にネトウヨが絶叫していた「日本スゴイ」論をあまり聞かなくなったような気がするが、多くの人が日本の国力低下を実感するようになったからではないだろうか。
そんな時に防衛費の激増など、40年前に流行した言葉で言えば「逆噴射」政策にほかならない。私には、およそナンセンスもいいところの政策であるとしか思えない。
そんな政策を「保守本流」を標榜しておいでらしい岸田文雄が唱え、泉健太や山本太郎が追随する。「リベラル・左派」も岸田にはやたらと甘い。岸田がやろうとしている防衛費のドラスティックな増額がこの記事で指摘したようなトンデモ逆噴射政策であるなどとは、夢にも思っていないのではなかろうか。
こんな現状に対して強い危機感を抱かないわけにはいかない。