うんうん、わかるわかる。
元Appleのソフトウェアエンジニアであるケン・コシエンダさんが、初代iPhoneの開発秘話をTwitterで語っています。コシエンダさんは、2001年から15年ほどAppleに在籍し、iPhoneのテキスト自動修正を開発した人物。ブラウザSafariや初代iPhoneに深く関わっており、初代発売から15年たった今、Twitterで開発エピソードを披露しています。その中でも特に興味深いのが、なぜ初代iPhoneにはテキストコピペ機能がなかったのかという話。答えは簡単で、時間がなくてそれどころじゃなかったから!
The original iPhone didn’t have cut/copy/paste. Infamous! The quickest explanation is that I didn’t have time to do it right. I had too much keyboard, autocorrection, and text system work to do. The design team didn’t have time either. So we passed on the feature for 1.0. https://t.co/SLncIxohkk
— Ken Kocienda (@kocienda) June 19, 2022
初代iPhoneにはカット/コピー/ペースト機能がない。その理由は、簡単に言うと、ちゃんとやろうと思ったら時間がなかったから。当時、キーボードと自動修正とテキストまわりで、やらないといけないことが山積みだった。デザインチームも時間がなかった。結果、その機能は初代では飛ばすということに。
iPhoneにおいてテキストの扱いが難しかった理由として、コシエンダさんは指先の丸さをあげています。指先の曲率の影響で、人は、指が実際に画面に触れている箇所よりも上の位置を触っていると認識してしまうそう。これを解決する術としてコシエンダさんが思い付いたのが、テキストを虫眼鏡のように拡大するアイディア。大きく見やすくすることで、指が触れている箇所とユーザーが想定している箇所をピシっと合わせるのが狙いでした。指を画面から離すときの動きで、カーソルがどうしてもズレてしまう問題もありましたが、これにはテキスト編集用のタッチ履歴ログを埋め込むことで対応。また、初代iPhoneのテキスト編集はWebKitがベースになっていたことも明かされています。
別のツイートスレッドでは、キーボードに関するエピソードも披露していますよ。実は、コシエンダさん『Creative Selection: Inside Apple's Design Process During the Golden Age of Steve Jobs』という本を出しており、ウォール・ストリート・ジャーナルベストセラーにもなっているので、知っている人も多いはず。和訳版『Creative Selection Apple創造を生む力』も出ていますよ。