建設現場にプラダのローファーで降り立つ貴公子。
インドIT大手Infosys(インフォシス)創業者令嬢とスタンフォード大で出会って結婚し、出世街道を駆け上って英国新首相になったリシ・スナク元財務大臣(42)。その資産はなんと7億3000万ポンド(約1240億円、Sunday Times Rich Listの推計)! バッキンガム宮殿の王族(エリザベス女王の生前の資産は推定約3億7000万ポンド)よりリッチなダウニング街(首相官邸)住人の誕生に世界は沸き立っています。
異例尽くしの人選
インド系の首相も初めてなら、ヒンズー教徒の首相も初めて、42歳という若さもここ200余年で最年少。こうした二重、三重のガードを破って白羽の矢が立ったのはやはり経済的窮地から国を救い出してくれるのはこの人しかないと社会が判断したからなんでしょう。
英国名門大を出てフルブライト奨学金で米国MBAを取得後、ゴールドマンサックス、ヘッジファンドを歴任して政界入りした経済通で、なにしろお金とお金を増やすスキルだけは余るほどありますし、ありすぎて夫人の節税がつるし上げになるほどですから(英国非居住者資格を保持することにより、Infosys株の配当など海外資産にかかる税金を英国に収めていなかった。これで節約した税金はBBCの推計で年間200万ポンド=約3億4000万円以上とされる)。
大臣になってからもグリーンカードを持っていた
祖父母は父方も母方もインドのパンジャーブからアフリカに渡った移民です。母方の祖父は長年税務署勤務の大英帝国勲章受章者でした。母はタンザニアに生まれ、父はケニアに生まれ、両家とも英国に渡って、そこで出会って結婚し、母は薬局経営、父はNHS勤務の医師となりました。
そういうボーダレスな家系のせいか、国籍や居住者資格はいろいろあるに越したことないって感覚なのかもしれませんね。英国の財務大臣になってからも米国のグリーンカードをずっと持っていたことがわかって、野党に「それも節税に有利なのか」と叩かれて放棄したりしています。
「リシ・リッチ」と呼ばれる
スナク新首相にはさっそく「リシ・リッチ(Rishi Rich)」という呼び名がつき、海外でもスーパーリッチらしい過去の逸話が改めて取り沙汰されています。
たとえばNew York Timesが紹介していたのは、庶民イメージをアピールするため撮影で寄ったガソリンスタンドで、バーコード読み取り機に銀行のカードをかざす、ちょっと前の謎映像です。
At a spring statement photo opportunity, the bungling chancellor appeared to try and pay for a can of coke by scanning his debit card on the barcode reader. The hilarious footage shows the till worker gesture to the soft drink, before Mr Sunak eventually understands his error. pic.twitter.com/wUmJTGk6w8
— LondonWorld (@LondonWorldCom) March 24, 2022
こういう店には寄ったことないんでしょうか…。
趣味・特技「コカ・コーラの歴史」
スーパーリッチのリシ新首相ではありますが、無類のコーラ好きらしく、スタンフォード大卒業生のプロフィールにも「興味範囲」の欄には「コカ・コーラの歴史」としっかり記入して、だいぶ浮いています。
history of coca cola pic.twitter.com/Isj3DPOwXR
— Tianyu M. Fang (@tianyuf) October 25, 2022
在校生もツイートしてます。庶民とつながれるのはコーラ。そう思っているのかも。
庶民の友だちがひとりもいない
そうやって努力しているのは、昔、BBCのドキュメンタリー番組「労働者階級」に出演して「労働者階級の友だちはひとりもいない」と正直に答えた映像がいまだに出回ってデジタルタトゥーみたいになってるんで、金持ちのレッテルを少しでも払拭したいからなんでしょうね。
アフリカでは「英国のオバマ」とも呼ばれてるリシ・リッチもといリシ・スナク。はたして分断の架け橋になれるのか。世界が注目しています。
Source: NYT