蘇る80's伝説。
1980年代に音楽業界の最先端を行っていたSynclavier(シンクラヴィア)という楽器がありました。当時はまだ珍しかったFMシンセにサンプラー、シーケンサー、レコーダーを統合したマシンで、今でいうDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)のように1台で音楽制作を完結させられるところが特徴でした。そのデジタルサウンドは80年代のヒット曲でしばしば聴くことができます。

Image: Synclavier Digital
当時としては圧倒的に贅を凝らした設計で、それゆえにお値段は1億円を超えていました。機能は豊富、サウンドはリッチでしたが、アマチュアには高嶺の花。所有者はマイケル・ジャクソン、スティーヴィー・ワンダー、スティングといったトップアーティストばかりでしたね。日本では小室哲哉がよく使ってました。あと加山雄三は自慢の船にシンクラヴィアを積んで、船中で作曲活動していたとか。船に1億のシンセ。すごいな若大将。
やがて電子楽器やPCの処理能力がアップしていくと、シンクラヴィアも時代遅れのものになってしまいました。しかし、独特の硬いサウンド、豊富なライブラリーは今でもファンが多く、シンクラヴィアをシミュレートした音色は今でもいろいろなシンセに入っていたりします。数年前にはiOSアプリ化されていますね。
過激な音作りも可能
そんなシンクラヴィアがデスクトップシンセ「Regen」として復活を果たしました。今度はアプリではなく実機です。

内蔵された音色プリセットは250以上で、さらに700以上のオリジナルサンプルを含むメガライブラリーも入っているとのこと。これには往年のシンクラヴィアサウンドや、6つの新しいアーティスト音色ライブラリーも含まれています。得意のFMのほかにスーパーソー、PCM矩形波、ノイズ生成など自由度の高い音色加工が可能です。
内部は12トラック構成で、トラックごとにコーラス、アルペジエーター、ビットクラッシュ、マルチモードフィルターなどのエフェクトを使用可能。このトラックをスタックすることで、さらに複雑な音作りができるようです。フルカラーパネルを備えていてるほか、ノブ類も豊富で操作性はよさそう。左端に付いているリボンコントローラーみたいな「SWIPER」っていうのは、いろいろなパラメーターをアサインできるようですね。ビデオを見るとかなりエグい音が出てます。
Regenは現在予約受付中で、価格は37万5000円。かつてのシンクラヴィアが億超えだったことを思えばめちゃくちゃ安く感じます。シンセ好きなら見逃せません。
Source: Synclavier Digital