最先端テクノロジーの裏は。
世界中が夢中になる新しいテクノロジー。表面上は輝かしいものでも、裏側はそうとは限りません。
ノートパソコンやスマホのリチウムイオン電池に使用されているレアメタルのコバルト。採掘場のあるコンゴでは、不法な児童労働の闇が報じられたことがあります。今回報道があった闇は、OpenAI。
有害コンテンツのラベリングを外部委託
Time誌によると、12月にAIチャットボット、ChatGPTをリリースした企業のOpenAIが、時給2ドルでケニアの人たちを雇い、ChatGPTの性能を上げるための有害コンテンツのラベリングをさせていたとのこと。
有害コンテンツとは、児童性的虐待、殺人、拷問、自殺、近親相姦など、見るのが辛いものばかり。100万人を超えるユーザーがAIの性能に喜んでいる裏側で、雇われた人たちは、有害な世界がChatGPTを通して表に出てしまうのを阻止しているのです。
データラベリングを請け負う企業、Sama
OpenAIは有害なコンテンツを取り除く「データのラベリング作業」をSamaというアメリカの会社に委託しています。
そのSamaは、これまでにもGoogleやMetaのようなシリコンバレーの会社のラベリング作業を請負い、ケニア、ウガンダ、インドで人を雇って作業をおこなってきました。
先月までMetaはSamaの一番大きな取引先だったのですが、突然Samaが「経済的な変化があったため」とMetaとの取引をストップ。
両会社とも、ケニアの憲法に反する劣悪な労働環境だった、と元コンテンツモデレーターに訴えられたからのようです。
拷問のような作業は時給2ドル
OpenAIのケースでは、ケニアの労働者は9時間のシフトで150から250の文章を読んでラベリングし、1時間1ドル32セント〜2ドル(約170円〜260円)の時給でした。
また、Time誌の取材に対して、Samaでは業務終了後もよくサービス残業があったと語る従業員や、犬とセックスをしている男の記事を読んだことで病んでしまい、作業は拷問のようだったと語る従業員もいました。
ちゃんとカウンセラーと面会できるようになっていたそうですが、それでも精神的な傷は大きかったと語っています。
SamaはTime誌に対して、ラベルのノルマは150から250ではなく、70の文章だったと反論しています。
こういった騒動があってか、SamaはOpenAIとの20万ドル(約2,600万円)の契約を予定より早くキャンセルし、ラベリング作業を完全になくすことを決定しました。
ラベリング作業のおかげで、ネット閲覧で不快な思いや病むような画像をユーザーが見ることなく過ごせているわけですが、それは誰かが排除してくれているから。
これこそ、AIにすべて任せられるようにすべきですよね。