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ガソリン車禁止の前に再エネ整備、EV転換には電力足らずと豊田氏

  • 水力発電と浮体式太陽光パネルの組み合わせで原発30基分に-豊田氏
  • EVだけにする資源は地球にない、効果的に使うべきとトヨタ幹部

経団連のモビリティ委員会の豊田章男共同委員長(トヨタ自動車社長)は8日、ガソリン車の販売を禁止して電気自動車(EV)に完全移行する前に、それを賄う電力を再生可能エネルギーで発電できるようにする必要があるとの考えを示した。

Inside Tokyo Auto Salon
豊田章男氏
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  豊田氏は、移動に関わる産業の課題などを議論するモビリティ委員会の会合で、今の発電能力では、国内で販売される年間約500万台弱の新車全てをEVに置き換えるには足りないと指摘。毎年新たに原子力発電所1基分に相当する発電能力が必要になるとした。

  その上で、規制でガソリン車販売を禁止するには、再エネで十分な電力を発電する能力を作るために業界を超えた協力体制を作る必要があると述べた。

  豊田氏は考え得る取り組みの1つとして、水力発電用のダムに浮体式の太陽光パネルを敷くことを挙げた。国内には、東京都全体の面積に相当する約2700カ所の水力発電のダムがある。そこに太陽光パネルを置けば、原発で計30基分ぐらいになるという。

  経団連が2022年6月に新設したモビリティ委員会には、幅広い産業から約200社が参加しており、経団連会長の十倉雅和氏(住友化学会長)と日本自動車部品工業会の有馬浩二会長(デンソー社長)が共同委員長を務める。昨年11月からは、岸田文雄首相や関係閣僚とモビリティ産業の強化や脱炭素などについて話し合う官民対話を始めるなど、政治に対する働きかけも行っている。

  脱炭素化に向けた動きが世界的に加速する中、海外の自動車メーカーはEVへの転換を進めている。トヨタはハイブリッド車(HV)や燃料電池車(FCV)なども選択肢として残すべきだとして全方位で開発を続ける考えで、環境団体などからはEVに後ろ向きだとの批判も浴びている。

  日本自動車工業会のトップを務める豊田氏は、ガソリン車の販売禁止が選択肢を狭めるとして度々苦言を呈している。岸田首相らとの会合では、EVの「一本足打法ではなく、日本の強みであるハイブリッド、軽自動車、二輪や水素もフルに生かした、日本独自の山の登り方でCO2を削減していくことが必要ではないか」と発言

自工会豊田会長、ガソリン車禁止は選択肢狭める-再び政府に苦言 (1)

  トヨタでチーフ・サイエンティストを務めるギル・プラット氏も経団連の8日の会合で、「多くのEVを作るのに十分な資源は地球にあるが、EVだけにするのに十分な資源は存在しない」とし、EVの基幹部品である電池の原材料は限りがあることを強調した。

  人工知能(AI)技術の開発などを行うトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)最高経営責任者(CEO)も務めるプラット氏は、「重要なのは無駄を最小限に抑え、最も効果のあるところに資源を使うことだ」とし、鉱物資源を多く必要とするEVはクリーンな充電インフラに容易にアクセスできる地域や消費者に割り当てるべきと続けた。

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