なかなかの再現率。
僕は漫才を観るのが好きなんですけど、ふと思ったんです。ChatGPTなら漫才の台本くらい作ってくれるんじゃないだろうか。そう思った僕はギズモード編集部員の1人と作ってみることにしました。
相談した結果、今回はお笑いコンビ「ミルクボーイ」のネタをChatGPTに作らせることに。彼らの漫才はかなりシステム化されているので、ChatGPTが得意そうだなと思ったんです。
しかし結論から言うと「やっぱ漫才師ってすげー!」となりました。システムがあるとはいえ、そのシステムの中で何を言えばおもしろいかを抽象化してAIに伝えるにはかなりの工夫が必要だと感じました。
ミルクボーイ風漫才を作るための指示
ということで、完成したChatGPTへの指示は以下からご覧ください。使用するモデルはGPT-4です。
今回は短めの漫才のテンプレを作り、お題に対するボケ・ツッコミのワードをChatGPTが生成、それらをテンプレの中に埋め込んで台本を完成させるように指示しました。


ポイントは、プログラムっぽい構造でありながら、処理部分はほぼ日本語で指示をしているところ。クオリティの高い漫才を作らせるにはミルクボーイっぽいニュアンスをどう言葉にするかが重要です。
予想以上にミルクボーイだ
何回か試して比較的うまくいったものをご紹介します。太字がChatGPTが考えた部分です。
タップして完成した漫才台本を見る
ツッコミ「どうもーどうも ミルクボーイですー」
ボケ&ツッコミ「お願いしますー ありがとうございますー」
ツッコミ「あー ありがとうございますー ねっ 今 マジシャンの鳩 をいただきましたけどもね」
ボケ&ツッコミ「ありがとうございますー」
ツッコミ「こんなん なんぼあっても良いですからね」
ボケ「いきなりですけどね うちのオカンがね 好きな スマートフォン があるらしいんやけど」
ツッコミ「そーなんや」
ボケ「その名前をちょっと忘れたらしくてね」
ツッコミ「好きなスマートフォンを忘れて、どうなってんの。なんか特徴言うてなかった?」
ボケ「特徴は Siriを使った話しかける だって言うねんな」
ツッコミ「おー iPhoneやないかい その特徴はもう完全に iPhone やがな」
ボケ「 iPhone なぁ。いや俺も iPhone と思うてんけどな」
ツッコミ「いやそうやろ?」
ボケ「オカンが言うには 懐中時計のようなデザイン だって言うねんな」
ツッコミ「あー ほな iPhone と違うかぁ そんなデザインのiPhoneはないよなぁ」
ボケ「そやねん」
ツッコミ「なんで懐中時計のようなデザインやねん、全然違うやん」
ボケ「そやねんな」
ツッコミ「あれほなもう一度詳しく教えてくれる?」
ボケ「Face IDで顔認証 らしいねん」
ツッコミ「iPhoneやないかい 顔認証なんて、もう完全にiPhoneの機能やろ。そういえば先日、顔がパンパンに腫れてて、Face IDが僕を認識しなかったんだよね。」
ボケ「まあねー」
ツッコミ「 あるあるやん、皆も経験あるやろ? 」
ボケ「分からへんねんでも」
ツッコミ「何が分からへんのこれで」
ボケ「俺も iPhone と思うてんけどな」
ツッコミ「そうやろ」
ボケ「オカンが言うには 電池を振ると充電できる って言うねんな」
ツッコミ「ほな iPhone ちゃうやないかい 電池を振ると充電できるなんて、まるで懐中時計みたいじゃないか。iPhoneでそんな機能はないよ。」
ボケ「そやねんそやねん」
ツッコミ「 iPhone ちゃうがな ほな もうちょっとなんか言ってなかった?」
ボケ「 水に濡れても平気 らしいねん」
ツッコミ「 iPhone やないかい 水に濡れても平気なんて、iPhoneの防水性能やろ。ある日、うっかりトイレにiPhoneを落としてしまったんだけど、水に濡れても平気で助かったよ。」
ボケ「分からへんねんだから」
ツッコミ「なんで分からへんのこれで」
ボケ「俺も iPhone と思うてんけどな」
ツッコミ「そうやろ」
ボケ「オカンが言うには iPhone ではないって言うねん」
ツッコミ「ほな iPhone ちゃうやないかい オカンが iPhone ではないと言うんやから iPhone ちゃうがな」
ボケ「そやねん」
ツッコミ「先ゆえよ Siriが変な返事をするって話してた時どう思っててん」
ボケ「んでオトンが言うにはな」
ツッコミ「オトン?」
ボケ「 ガラケー ちゃうか?って言うねん」
ツッコミ「いや絶対ちゃうやろ もうええわー」
どうです? 思っていた以上にミルクボーイの漫才になってませんか? ちょっと期待と違う動きをしている部分もありますが、なかなか健闘しているほうだと思います。
つかみの「マジシャンの鳩」とか、「iPhone」というお題に対するカテゴリー「スマートフォン」とか、オチの「ガラケー」とか、自然ですよね。
ChatGPTの賢さが垣間見れた気がします。と同時に、ChatGPTへの質問の仕方の重要性にも気付かされました。
人間がおもしろいと感じる会話の機微を言葉で表現するのって意外と難しいもの。各関数の中の指示をどのように書くかで、おもしろさが変わってくるような気がします。人間の腕の見せどころじゃないでしょうか。
なお、ChatGPTへの指示の
$target:iPhone
の「iPhone」の部分を変えれば、違うお題のミルクボーイ風漫才を作ることができるので、みなさんも楽しんでみてください。ただし会話のつじつまが合わない漫才ができることもあります。そこはご愛嬌ということで。
今回のミルクボーイ風漫才がおもしろかったので、今度は違う漫才師さんでやってみたいですね。どのコンビができそうかなー。