ダイソンの“大気汚染を調査するリュック”、子供らに背負わせる

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  • author 岡本玄介
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ダイソンの“大気汚染を調査するリュック”、子供らに背負わせる
Image: Dyson/YouTube

空気清浄機のセンサーで空気質の調査!

掃除機だけでなく空気清浄機能を持った製品も作っているダイソン。家庭内の空気に限らず、屋外の空気にも気を配っているようです。

PM2.5や黄砂などは外から侵入して来るので、外の空気は他人事ではありませんよね。彼らの空気清浄機が持つ技術が、大気汚染の調査に役立つようになりました。

「空気質バックパック」で調査

ダイソンがオーストラリアのディーキン大学と共同で行ったのは、「ブリーズ・メルボルン」という調査。6つの小学校に通う300人以上の子供たち、および12人の教員たちに、GPSと空気の汚染を検知するデバイスを組み込んだ通学用バックパックを背負ってもらい、5日間通学してもらいました。

Video: Dyson/YouTube

大気汚染がヒドいメルボルン

メルボルンは工業都市でディーゼル車も多く、小児喘息持ちの子が多いのだとか。調査を通じて子供たちの意識を高めつつ、生データの収集も実行できれば一石二鳥ということになります。

採取されたデータは大学にて精査されることになっています。位置や時間などの情報と照らし合わせれば、かなり細かいことが判明しそうですね。結果は今年の終わり頃に発表されるとのこと。

6つの参加校は、ジェームズダイソン財団(JDF)が提供する、大気汚染のための教材を利用することが可能です。興味があれば、生徒たちが継続して問題に取り組めるので、将来の研究者が生まれるかもしれませんね。

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Image: dyson

空気清浄機の技術を流用

ダイソンの空気清浄機には、空気質をチェックするセンサーが搭載されており、PM2.5、PM10、NO2(二酸化窒素)、VOCs(揮発性有機化合物)、CO2を検出することができます。その技術を流用して、2019年にもイギリスで同じバックパックで同じ調査を行いました。目に見えないけど毎日身体に浴びている大気汚染を、子供たちの足を使って科学的に調べたワケです。

イギリスでは、調査後31%の子供たちが汚染を減らすために通学の方法を変える…と変化が起こりました。少しでも良い結果に繋がったのなら何よりです。

調査で世界を変えよう

メルボルンでも、子供たちがどれほどの大気汚染に晒されているのか、大人も知れば意識が変わり政治の力で大きな変化に繋がる可能性もあるとのこと。日本でも夏には光化学スモッグ注意報が出る地域がありますし、世界中で大胆な改革が必要だと感じます。

Source: YouTube, dyson via MIKE SHOUTS