きれいだけど、かなり要注意なヤツです。
アメリカで夏を謳歌している外来種がいるようです。
赤とベージュのかわいい水玉模様の昆虫、名前はSpotted Lanternfly(スポッテド・ランタンフライ)、日本語では琵琶羽衣(ビワハゴロモ)といいます。でも、生態系をぶっ壊す存在なので、見つけたらすぐに駆除するようにとお達しが出ています。
ランタンフライは2014年にペンシルベニア州で最初に発見され、現在では生息地域がどんどん広がり、インディアナ州にまで拡散してきているそうです。
ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカット、ノースカロライナ、ペンシルベニア、バージニア、オハイオなど、全米14州で特に多く発見されています。
生態系を壊す外来種
アメリカ農務省によると、ランタンフライは木の樹液を吸い、リンゴ、ホップ、ブドウなどの重要な作物や植物に被害を与える可能性があるそうです。
また、「ハニーデュー」という粘性のある分泌物を出すのですが、これが植物にカビを引き起こすのです。
アメリカ自然史博物館副館長で昆虫学者Jessica Wareさんは、今年初め「成体になる前の幼虫を駆除できたら完璧です。次の世代を作る前に倒すことができるからです」と取材に対してコメントしています。
コーネル大学とニューヨーク州統合害虫管理センターによると、このランタンフライは数カ月前はまだ黒い体に白い水玉模様の小さな幼虫だったそうですが、6月末〜7月初旬には約1.9cmの大きさの幼虫後期になり赤、黒、白の模様に変化しています。
そして今はすでに、翼のある成体に成長してしまいました。交尾の季節は8月末なので、次の世代を作る前に、今いるランタンフライをできるだけ駆除してしまわなければいけません。
北東部では深刻な状態に
虫を殺すことに罪悪感がある人、虫が嫌いで触るのも殺すのも嫌な人はたくさんいるはずですが、この虫は駆除しないと大変なことになるそうで、躊躇している時間はないとのこと。
現在、バージニア州でランタンフライが増加している街に住んでいる人たちには、8月1日から隔離措置が出ています。家から出られないというわけではなく、その地域のトラックや運搬業者が他の街や州へ出て行く際、車両の検査をしなくてはいけないようです。
ニュージャージー州農務省はランタンフライの数を減らすために地域の自治体に400万ドル(約5億6600万円)以上の資金提供をしています。
現在アメリカ北東部での状況はかなり深刻で、昨年7月までに100以上の自治体がこの資金を申請しています。地域や州の農業機関、大学の昆虫学部は、被害地域の住民に対して、引き続きランタンフライの目撃情報を報告するよう呼びかけています。
マサチューセッツ州農業資源部は昨年、住民が目撃情報を報告できるようにオンラインフォームを設置しています。次の世代を産ませないように、政府・自治体・大学が必死に動いている状況です。