「ハムスターの回し車」のような船で大西洋横断を狙う 米フロリダの男性を逮捕
マックス・マッツァ、BBCニュース

画像提供, Flagler County Sheriff's Office
ハムスターの回し車のような自作の船で大西洋を横断しようとした米フロリダ州の男性が、当局に逮捕された。男性は「ロンドンまで走る」と意気込んでいたという。
米沿岸警備隊は8月26日、ジョージア州タイビー・アイランドの沖合約110キロメートルの海上で、リザ・バルーチ容疑者(44)を止めた。
当局によると、容疑者は3日間、船から離れようとしなかったという。
容疑者はこれまでに3度、同様の航海を試みている。いずれも、沿岸警備隊によって阻止された。
船は車輪の形をしており、回転するとパドルが推進力を生み、前進するように作られている。容疑者はこの船を「バブル」と呼んでいる。
爆弾があると主張
刑事告訴状によると、沿岸警備隊は「ワイヤーやブイによって浮いていた船の状態からみて、バルーチ容疑者は明らかに危険な航海をしていると判断した」。
容疑者が航海を開始したのは、当局が大型ハリケーンの到来に備えていた時だったという。
当局によると、容疑者は船を離れることを拒否し、自殺すると脅した。裁判所の文書によると、船内に爆弾があるとも主張したという。
容疑者は9月1日になってようやく航海を断念。マイアミの沿岸警備隊基地に連行され、船を放棄した。
「爆弾」については、偽物だったことが判明した。
容疑者は現在、乗船妨害と沿岸警備当局の指示に背いた連邦法違反の疑いで訴追されている。弁護士がついているかは不明。
過去の「航海」
容疑者は過去にも「バブル」で海に出て逮捕されている。
2021年にはフロリダからニューヨークへ向かい、出発地点の南約50キロメートルで漂流。救助された後に逮捕された。
2014年にはフロリダ州セントオーガスティンの近くで救助された。その2年後にも、同州パームビーチに近いジュピター沖で救助された。
過去のインタビューでは、ホームレスや沿岸警備隊の支援など、さまざまな目的の資金集めが航海の目的だと話していた。
フロリダ州オーランドの放送局WOFL-TVの2021年の取材では、「ホームレスのためだけでなく、沿岸警備隊のため、警察のため、消防のために金を集めるのが目的だ」と話した。
「それらの人々は公共サービスを提供しており、安全のために行動し、他の人々を助けている」