埼玉県の自民党県議団が県議会に提出した県虐待禁止条例改正案は10日、県民からの猛反発を受け、わずか7日で異例の取り下げとなった。ただ、県議団の田村琢実団長が記者会見で「説明不足が原因」として内容に問題がないかのような発言をした点に「ずれがある」と指摘する声も上がった。
「とんでもないと思っていたので、取り下げは当然」。10日午後、さいたま市内でランニングしていた市内の無職男性(72)はピシャリと言った。小学2年生の孫がいる。「ただでさえ少子化なのに、これではますます子どもを持たない人が増える。(子育て支援を)しっかり考え直してほしい」と苦言を呈した。
◆「私たちに死ねというのか」という声も
小3以下の子どもだけの留守番や外出が「虐待」に当たるとした改正案の内容が明らかになったのは4日の本会議。6日には委員会で他会派の反対や懸念を押し切って可決され、13日の本会議で採決予定だった。
だが、保護者らが猛反発し立ち上がった。野沢湖子さん=東松山市=が始めた署名は10日夕までに9万人以上、さいたま市PTA連合会は2万8000人超を集めた。野沢さんは「そもそもの考え方にずれがある。虐待の背景には貧困や孤立などさまざまな問題がからむ。そこを改善せず目先の禁止や監視では根本的な解決にならない」と指摘した。
さいたま市浦和区の塾主宰、吉田雅人さん(72)らが結成した改正案に反対する会もこの日、県庁議会棟前で抗議活動。吉田さんは「塾を三十数年やってきて、こんなにお母さんたちが怒ったのは初めて。田村団長は『説明不足』が原因としており、同趣旨の条例案をまた出してこないか注視する」と強調した。
ひとり親の支援団体、NPO法人「しんぐるまざあず・...
残り 723/1445 文字
この記事は会員限定です。
- 有料会員に登録すると
- 会員向け記事が読み放題
- 記事にコメントが書ける
- 紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
カテゴリーをフォローする
おすすめ情報
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。