中古車だからこそ欲しくなる。40代の僕が「ディスカバリー3」を選んだわけ

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中古車だからこそ欲しくなる。40代の僕が「ディスカバリー3」を選んだわけ
Photo: 高阪正洋(CORNELL)

カーシェアやレンタカーが充実している今、都会暮らしでクルマの必要性を感じている人もそう多くないのでは? とはいっても、「クルマのある生活」は体験してみないとわからないもの。

このご時世クルマを買う理由は、何も移動手段としてだけではありません。「趣味の一つとして」「ファッションとして」「人生の転機だったから」と人それぞれいろんなストーリーがあるんです。

夢とロマン、自分らしさが詰まった「ディスカバリー3」

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フリーランスPRとして、TIMBER CREW(ティンバークルー)やJOURNAL STANDARD FURNITURE(ジャーナル スタンダード ファニチャー)などのブランドに携わり、趣味であるアウトドアの知見を武器に活躍する勝山龍一さんが、「レガシィ アウトバック」から「ランドローバー ディスカバリー3(2006年式)」に乗り替えたのは、この春。

「アウトバックには12年間乗ったので、そろそろ…」と年始くらいからぼんやり考えはじめ、中古車サイトをこまめにチェックしていたのだとか。求めていたのは、「『アイツ、最近稼いでるな』と思われない車とか、エラぶって見えない車とか」とうそぶきながらも、そこには40代に入ってからの心境の変化が、どうやら関係していたようで。

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前の車(レガシィ アウトバック)は、本当に文句のつけようがないほど快適でした。でも、“夢”や“ロマン“をもっと感じたくなったんです。次は、自分らしくて高揚感のある車にしようと思って探していました 。

ゆえに、なにより決め手になったのはそのルックス。

このカクカクしたフォルム。現行のこういう車って恐い顔が多い気がするんですが、これはヌボーッとぼんやりした感じ。わかる人にしかわからない、どちらかというと地味なデザインですが、自分のテンションはちゃんと上がるというか。

実際、駐車場に停めて戻ってきたときなど、「うわっ、カッコいいっっっ!」とたびたび悦に入っているのだとか。

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中古車ならではのストーリー

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大量のボタンが配置されたインパネ(ダッシュボードの計器盤)の見た目も気に入っているとか。「テンキーとか付いてて面白いですよね。実際に使うのはエアコン用のボタンくらいですが(笑)」と勝山さん

販売していたのは「ルノー カングー」を得意とする店。ディスカバリー3は下取りで偶然入ってきたため、通常よりも安く売り出されていたそうです。そして、そこで聞いた前のオーナーについての話も、勝山さんの心をグッと捉えました。

老夫婦が別荘に行くためだけに使っていた車だったらしくて。そのストーリーを聞いて、「いいじゃない……!」って思いました。基本は高速使用で、とても丁寧に使われていたことも気に入って。

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灰皿にはサンタマリアノヴェッラのポプリ

そうしたストーリーや背景込みでの買い物は、なにもそのときに限った話ではありません。フリマアプリで見つけたKAWASAKIのオフロードバイク「KLX」もわざわざ出品者に会いに行って買ったのだとか。

新しい出会いも楽しいし、できるだけ使っていた人のことを知りたいんです。逆に、どんなにモノの状態も良かったとしても、前のオーナーとソリが合わなければ買わないことも。そういうの込みで、リユースの楽しさというか。

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フリマアプリで購入したKAWASAKI「KLX」(撮影:勝山さん)

意外すぎる“楽しかった”エピソード

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開放感タップリのサンルーフは運転席側にも後部座席側にも付いている。暑い夏も快適に過ごせたという

これまでの楽しかったエピソードは?と聞けば、「エンストとか雨漏りとか、いろいろありましたよ」と、 意外な言葉が、あっけらかんと返ってきました。

まず、買ってすぐに渋滞中の高速道路でエンスト。 根気よくセル(エンジンをスタートさせるための電動機)を回したところ、なんとかエンジンがかかってことなきを得ました。そのあとは、助手席、運転席、と順に雨漏り。ディスカバリー3には“あるある”だと事前に聞いていたため覚悟はしていたといいますが、さすがに落ち込んだのでは?

いえいえ、雨漏りだって、楽しいエピソードですよ!「そこか〜!」「今度はそっちか〜!!」って(笑)燃費もすごく悪いので、ガソリンを入れるたびに、どれくらい走ったかをトリップメーター(区間走行距離を計るもの)で計算して、「今回は1リッターで6km走った!」とか。

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ボタンひとつでサスペンションが作動して、車高が変わるのもこの車の魅力。高くすればオフロード走行が安定し、低くすれば立体駐車場で便利

そうした不便やトラブルにも、涼しい顔で冷静に対処しているという勝山さんですが、2、30代の頃は、「壊れたり、止まったりするのなんて、絶対にイヤだった」と打ち明けます。

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それは、キャンプも一緒で。雨予報が出ていれば、以前は「行きたくないな」と気が重くなっていました。でもいまは、「雨具の用意をしとけばいいか」と割り切れるようになった。強風でテントが倒れても、なんとかすればいいだけだし、大体なんとかなるんです。

だからこそ、前はラゲッジスペースに“ぜんぶ載せ”していたキャンプ道具も、いまは必要最小限。荷物は減る一方。ギアも小さくなる一方。この車に乗り替えて、とくに車中泊の快適さに気づいたことで、ときにはテントさえ持たないことも。

「エアマット、寝袋、タオルケット、そしてポータブル電源があれば、冬の寒さも十分しのげます」。

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実際の車中泊のコーディネート(撮影:勝山さん)

いま欲しいのは、“あのとき欲しかったもの”

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年齢とともに、車もギアも洋服も選び取るものが以前とは少しずつ変化している、と勝山さん。「最近は、“あのとき欲しかったもの”に手が伸びるようになりました」。

フリマアプリで出品者から直接買ったKAWASAKIのバイク。学生の頃欲しかったPatagoniaのアウター。15年前、キャンプを始めた頃に買い逃したMSRのテント。マクラーレン社のガダバウトチェア…。

いま、ディスカバリー3にビビッときたのにも、そしてそこに“夢”や“ロマン”を求めたのにも頷けます。

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若い頃と違って、モノの見方や価値の感じ方が変わったのかも。“おっさん”になっている証拠なのかもしれませんね(笑)

そう自嘲するのも勝山さんらしいけれど、“夢”や“ロマン”をたっとび、ひととの出会いまで楽しみながら買い物をする。ちょっとやそっとのトラブルには動じず、むしろアソビに転じる。そういう“おっさん”なら、全然悪くないし、むしろちょっと憧れるかもしれません。

Photo: 高阪正洋(CORNELL)

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