ChatGPT、スマホ充電できるほどのエネルギーを消費してた

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  • author Maxwell Zeff - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
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ChatGPT、スマホ充電できるほどのエネルギーを消費してた
Image: Bartek Winnicki / Shutterstock

気軽にAIに質問してたけど、すごいエネルギーが必要だった!

新しい研究によると、生成AIモデルを使用して画像を作る際、スマートフォンを充電するのと同じくらいエネルギーを消費することが明らかになりました。

この研究は初めて生成AIモデルが与える環境への影響を測定したもので、ChatGPTのDall-EやMidjourneyなどの人気モデルが、約6キロ車で走行するよりも多くの二酸化炭素を排出することも示唆しています。

AIは直接環境に影響あり

今回の研究をおこなったSasha Luccioni博士は米Gizmodoに対して以下のように述べています。

私たち人間はAIは環境に影響を与えていないと考えがち。『クラウド』上に存在するものだと思われているからです。しかし、私たちがAIモデルに質問するたびに、地球の環境にコストをかけています。そのコストを計算することは重要なことです。

ChatGPTは多くエネルギーを消費

機械学習アプリ企業のHugging Faceとカーネギーメロン大学がおこなった今回の研究は、テキストから画像を生成する画像生成タスクが、生成AIモデルにとって他のどのタスクよりもかなり多くのエネルギーを必要とすることが明らかになりました。

研究チームは88のモデルを30のデータセットでテストし、ChatGPTのような大規模で多目的なモデルが、特定のタスク向けのモデルよりもエネルギーを多く消費することがわかりました。これは、生成AIモデルの炭素排出とエネルギー消費を初めて測定した研究となりました。

Luccioni博士は、「この研究ではデータを公開しないOpenAIが調査に入っておらず、それ自体大きな問題」だとしています。

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Image: Hugging Face / Carnegie Mellon

Hugging Faceの気候担当であるLuccioni博士は、ChatGPTなどの多目的生成AIモデルは「ユーザーフレンドリーではあるがエネルギーをより多く消費している」と述べています。また、これらのモデルに対する需要が高まっている理由は、ユーザーが使いやすいからだと指摘。適切なモデルを見つける必要なく、単にユーザーはチャットボットにアクセスするだけで何でも質問できるからです。

意識を持ってAIを使うべき

「生成AI全体について、そのコストと利益を比較し、どのように使うかについてもっと意識を持つべきだと思います」とLuccioni博士はコメントしています。

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Image: Hugging Face / Carnegie Mellon

この研究では、Stability.AIのStable Diffusion XLなど複数のAI画像生成モデルがテストされました。その中でStable Diffusion XLはエネルギー効率が最も悪いモデルの一つとして評価されています。研究チームはまた、無料で使用できるPromptHeroのOpenJourneyもテストしています。この研究ではAI市場でもっとも広く使用されているモデルであるChatGPTのDALL-EやMidjourneyは対象外となっています。

ChatGPT-4には1.76兆ものパラメータがあり、ChatGPTへ質問がされるたびに多くの計算が必要となります。Luccioni博士は多目的生成モデルを展開する利点があることは認識している一方で、「タスクが明確に定義されている内容での展開の必要性については説得力のある証拠が見当たらない」と述べ、ウェブ検索やナビゲーションなど大きなエネルギーを必要をするタスクについては、ChatGPTよりも小さなモデルでおこなうことができるとしています。