まさに眼福!
地上の天文台や地球から数百万マイルも離れた望遠鏡のおかげで、2023年も宇宙画像に恵まれた1年となりました。
宇宙は真っ暗な空間ですが、人間が作った観測機器であれば、数十億光年の範囲に広がる無数の光源を見ることができます。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)やハッブル宇宙望遠鏡、ケックII望遠鏡などが大活躍し、天文学者たちは球状星団、星系、さらには太陽系にある惑星のこれまで見たことのない光景を捉えることに成功しました。
米Gizmodoが選んだ今年公開された宇宙画像をどうぞ。
へびつかい座ロー星

巨大な地球外生命体ではありませんが、そう思うのも無理はないかと。この天体はJWSTが捉えた、地球に最も近い星形成領域「へびつかい座ロー星」。色合いといい、質感といい、圧巻です!
「モスラ」と「クリスマスツリー銀河団」

こちらは地球から43億光年先にある銀河団「MACS0416」のパンクロマティック画像。JWSTとハッブル宇宙望遠鏡のデータを合成したものです。
この銀河団はカラフルさゆえ、「クリスマスツリー銀河団」というあだ名がつけられており、また画像にはモスラと名付けられた星系が存在するとのこと。
ユークリッド宇宙望遠鏡の初画像

今年、ユークリッド宇宙望遠鏡はうっとりするほど美しい馬頭星雲のショットを含む、最初の科学画像を公開しました。ユークリッドのミッションについての記事はこちら。
オリオン・バー

JWSTの近赤外線カメラ(NIRCam)が観測したオリオン星雲の一角の画像。この領域はオリオン・バーと呼ばれており、これまで宇宙で検出されたことがなかった炭素分子が原始惑星系円盤から発見されました。
綿あめみたいな木星

今年、ハッブル宇宙望遠鏡はゆめかわな木星を撮影しました。いつもはオレンジ色や乳白色の太陽系最大の惑星「木星」が、紫外線波長では明るいピンクとライトブルーに。
宇宙に住むガイコツの手

宇宙空間に浮かぶガイコツの手…に見える天体の正体は、地球から1万6000光年離れたパルサー星雲。チャンドラX線観測衛星とNASAのX線偏光観測衛星(IXPE)のデータによって浮かび上がりました。
NASAはこの画像をハロウィンの前日に公開。手を伸ばしているように見える不気味な星雲ですから、ぴったりなタイミングでしたね。
天王星のオーロラ

天王星には、荷電粒子が惑星の大気にぶつかって生じる赤外線のオーロラが存在します。この画像はハワイにあるケックII望遠鏡で取得したデータから。
シェル構造の銀河

9月に米Gizmodoが“玉ねぎのような銀河”と呼んだ「NGC 3923」は、銀河ハローの中に同心円状の輪があることで有名な銀河です。この珍しい構造についての記事(英語)はこちら。この画像はチリにあるビクター・M・ブランコ4m望遠鏡のダークエネルギーカメラで撮影されました。
大爆発したりゅうこつ座イータ星のタイムラプス
こちらは地球から7500光年離れた星系、りゅうこつ座イータ星のタイムラプス動画。チャンドラX線観測衛星が1999年、2003年、2009年、2014年、2020年に撮影したコマをつなぎ合わせたものですが、X線に関する新発見が明らかになったのは今年に入ってからでした。最新論文についての記事はこちら。
原始星のアウトフロー

JWSTが撮影した「ハービッグ・ハロー天体 211(HH 211)」の幻想的な光景。地球から1000光年の距離にある星から物質を噴出する双極ジェットを捉えました。この近赤外線画像だと原始星は目に見えませんが、2本のジェットは輝きを放っています。
極リング銀河

銀河に対して垂直に周回する水素ガスのリングを捉えた合成画像。この「極リング」の発生には諸説ありますが、宇宙に存在するこのような構造の台頭を理解するには、もっと多くの銀河を研究する必要があるようです。
ディープフィールドを動画で
CEERS(宇宙進化初期リリース科学サーベイ)ディープフィールドの一部の、3Dビジュアライゼーションが作成されました。この動画は古代銀河を進んでいってJWSTが観測した最も古い銀河の1つで、およそ134億年前に形成されたメイジー銀河の近くで締めくくられます。
キラッキラな球状星団

JWSTの方が何かと話題になりがちですが、この眩い画像を撮影したのは老いつつあるハッブル宇宙望遠鏡でした。地球から1万5000光年ほど離れた球状星団「Terzan 12」を捉えており、数多の星々が写し出されています。
リング星雲

8月に公開されたのはJWSTの観測機器、NIRCam(左)とMIRI(右)が捉えた極彩色のリング星雲(別名:環状星雲、NGC 6720)の美麗写真。この画像はJWSTデータがどのように着色されているかを示していて、星雲のある面を際立たせるために、特定のフィルターを用いる“疑似カラー画像”と呼ばれています。
天の川銀河の中心部

JWSTが観測した幅が50光年に及ぶ天の川銀河中心には、約50万個の星々が輝いています。
天王星を囲む環

天王星には環があります。このJWSTの画像に写る同惑星を囲んでいる同心円状の構造は、(以前ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したことがあるものの)簡単に見られるものではありません。天王星には13本の環があり、今回の画像にはそのうち11本が写っています。
ウォルフ・ライエ星「WR 124」

寿命を迎えつつある大質量星の近赤外線と中赤外線域の合成画像。この星は死期が迫るにつれて急速に質量を失いつつあって、そのうち超新星爆発(星の爆発的な死)を起こします。JWSTが撮った画像で、3月に公開されています。