ラーメンを食べる際に、通常のレンゲではなく穴あきレンゲを使うと摂取塩分量が有意に減少することが、日本の男子大学生を対象に行われた無作為化試験(*1)で明らかになりました。

手軽に手に入る「穴あきレンゲ」が減塩の強い味方に。(写真=PIXTA)
手軽に手に入る「穴あきレンゲ」が減塩の強い味方に。(写真=PIXTA)

ラーメンを穴あきレンゲと箸で食べると、塩分摂取量は減る?

 日本人の塩分摂取量は世界的にも多く、WHOの目標値(5g未満/日)と比較すると、男女とも約2倍の塩分を摂取しています。日本人の健康にとって、減塩は優先課題の1つとされています。

 健康を意識している人もそうでない人も、たやすく減塩できる方法を提案する必要がある、と考えた熊本県立大学の杉本真依子氏らは、食事に用いる道具を工夫することにより減塩が可能かどうかを検討することにしました。

 選んだ道具は穴あきレンゲです。穴あきスプーンとも呼ばれ、冬の鍋料理の季節には100円ショップでも販売されることがあり、比較的容易に入手できるようです。鍋料理の具をすくうためや、麺類の細かな具材を残さず食べるために用いられています。著者らは、「塩分含有量の多いラーメンを穴あきレンゲと箸を用いて食べると、普通のレンゲと箸を使って食べる場合に比べ、摂取するスープの量が減り、塩分摂取量も減る」と仮定しました。

 研究の対象は、急性疾患または慢性疾患を持たない健康な男子大学生で、減量のためのダイエットや減塩食摂取を行っていない、非喫煙者を選びました。男子大学生は比較的、健康な生活習慣に対する関心が薄く、塩分摂取量は女子学生より多いことが示されていたため、今回の分析対象として好適と考えられました。

 減塩ができても、食事の満足度が下がっては継続が難しくなります。学生たちには、食後の満腹感やおいしさが、通常のレンゲと箸を使って食べた場合と異なるかどうかも尋ねることにしました。

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