富士通は賠償負担する必要、郵便局えん罪事件で責任判明なら-英政府
Sabah Meddings、Alex Wickham-
富士通のシステム欠陥が郵便局管理職の不当な起訴や有罪判決招いた
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2020年に始まった公的調査、年内に結論が出る見込み
富士通は、英国で数百人の英郵便局管理職が窃盗の罪で不当に起訴されたり有罪判決を受けたりした一大冤罪(えんざい)事件で、公的な調査によって責任が認められた場合、補償を行う必要がある。英政府閣僚らが主張している。
同社は勘定系システム「ホライゾン」を2000年前後から英ポストオフィスに提供してきた。このシステムの欠陥により、「サブポストマスター(民間受託郵便局長)」と呼ばれる英郵便局管理職が窃盗の罪を着せられ、数百人が破産したり収監されたりし、何人かは自ら命を絶った。
この問題を巡って、最近のテレビドラマ化によって国民の怒りが高まり、政府は被害者への補償を迅速に行うと約束している。
ストライド英雇用・年金相は9日、スカイニュースに対し「このツケを払うのは納税者だというような状況に陥ることにはならないのは確かだと思う」と語った。この問題に関する判断は、2020年に始まり年内に結論が出る見込みの公的調査を待つことになると説明した。
これより先にストライド氏は、英ラジオ局「タイムズラジオ」に対し、調査によって「富士通が多くの意図的ミスを犯し、そればなければ起きなかったであろうさまざまな問題を誘発したと判断されれば、それはかなり深刻な事態ということであり、非常に深刻な結果を招くことになるだろう」と語っていた。
ポストオフィスを管轄する英閣僚、ケビン・ホリンレイク氏は8日夕方、調査によって富士通に責任の一端があると結論づけられた場合、英国は富士通に賠償金の一部負担を求めることを検討すると述べた。
富士通の広報担当者は、サブポストマスターらの苦痛に一役買ったことを謝罪し、英政府の実態調査に加わっていると説明。「何が起こったか理解し、そこから学ぶために全面的に調査を支援している。サブポストマスターと家族の生活に及んだ計り知れない影響が、調査結果からあらためてうかがえる」と電子メールでコメントした。
サブポストマスターへの賠償金の一部を富士通に負担させたいと考える政治家もいる。「サブポストマスターのための正義」キャンペーンを推進するジェームズ・アーバスノット元下院議員は「多額のオファーを先回りで提示するよう富士通に勧めたい。責任の一端を引き受け、コストを一部負担すべきだ」と話す。
データ会社タッセルによれば、12年以降では英公共部門から総額68億ポンド(約1兆2500億円)の受注を獲得したが、新規の政府調達から排除を求める圧力に今や直面している。
英保守党のデービッド・デイビス議員は、富士通がこの問題で果たした役割について重要な質問に答えるまで、今後は政府との契約を凍結すべきだと主張。BBCに対し「それが終わるまで、新規契約の可能性は確実に停止されるだろう」と語った。
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原題:UK Says Fujitsu Must Pay If It’s Blamed for Post Office Scandal(抜粋)