おしっこってなんで黄色いの?

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おしっこってなんで黄色いの?
Image: Shutterstock

おしっこは黄色い。日々でていくおしっこを見るたび、黄色いのが当然で何も疑問を感じていませんでした。が、人類たるもの何に対してもナゼカ?と問うてこそ。科学者のみなさんは、長年なんでおしっこは黄色いのかな?と研究を重ねてきました。

最新研究で、おしっこが黄色になるのは腸内細菌が作る酵素が大きな役割を担っていることが明らかになりました。

おしっこ黄色研究を行なったのは、メリーランド大学の細胞生物分子遺伝学部のアシスタント教授Brantley Hall氏(論文の主執筆者)が率いる研究チーム。

赤血球とヘムとウロビリンとビリルビン

おしっこ、尿は体内の余剰水分と腎臓を通して血液がフィルタリングした老廃物でできています。この老廃物には、ヘモグロビンを介して酸素を体全体に供給する赤血球など、細胞が最後に行き着いたモノも含まれています。

赤血球が作る重要な成分にヘモグロビンの前駆体であるヘムがあります。このヘムと赤血球が最終的に分解されるとき、おしっこが黄色くなります。

ヘムの分解生物であるウロビリンがおしっこの黄色に関連していることは、以前からわかっていました。が、Hall氏によれば、今回の研究論文によって、おしっこの中のウロビリンの存在=ヘムの副産物を分解する腸内細菌の働きが、あの黄色に必要不可欠なステップであることが明らかになったのです。

米Gizmodo編集部がHall氏にメール取材を行なったところ、わかりやすく解説してくれました!

約6カ月の役目を終え赤血球が分解されるとき、明るいオレンジ色のビリルビンという色素が副産物として生成されます。腸内にて、腸内細菌はビリルビンを酸素に触れると黄色になる分子へと変換させます。この分子がウロビリンであり、おしっこの黄色の主たる原因なのです。研究では、黄色になる現象に酵素が影響していることがわかりました。

なんで今までわからなかったの?

おしっこっが黄色い理由は自分が知らないだけで、科学的に理由が解明されていると思っていた人はきっと少なくないはず。Hall氏いわく、原因解明まで長くかかったのは、腸内細菌という小さなちいさな存在の研究は非常に難しいから。

残念ながら、腸内細菌の研究は非常にチャレンジングなことなんですね。腸内は低酸素環境であり、腸内細菌の多くは酸素が多いと生存できません。結果、研究室での培養や実験が難しいのです。ビリベルジンレダクターゼ発見は、実験的なスクリーニング検査とゲノム解析によるもの。ゲノムシーケンス技術の発展とより多くの腸内細菌種をより分けることで、初めて可能になった手方です。

ビリベルジンレダクターゼ

おしっこが黄色い理由がわかっただけでは終わりません。この研究は今後、腸内細菌が健康状態にどうかかわっていくかという理解をより深めていくことにつながります。

研究チームは、新たに発見した酵素を「ビリベルジンレダクターゼ(BiLR)」と命名。腸内細菌(特にファーミキューテスと呼ばれる細菌)の中からこの酵素を生成する遺伝子を特定。これがビリルビンを分解する機能をもつことを確認しました。

また、ビリベルジンレダクターゼが健康な成人の腸内細菌の中に見られることもわかりました。逆に新生児や炎症性腸疾患を持つ成人の腸内に見られることは稀だそう。ということは、ビリベルジンレダクターゼを生成できない腸内細菌が、赤ちゃんの黄疸や大人の胆石に関係している可能性もあるわけで…。今後ビリベルジンレダクターゼのさらなる役割をより掘り下げて研究していく予定だといいます。

論文はNature Microbiologyに掲載されています。