化石が証明した「ウマの指が消えていく」進化の道筋…じつは「1本になったのは、単なる偶然」かもしれない納得の理由

アメリカに馬はいなかった?

かつて北アメリカには、ウマはいなかったと思われていた。15世紀にヨーロッパ人がウマを持ち込んだことによって、はじめて北アメリカにウマがもたらされたというのである。

それに疑問を持ったのが、アメリカの古生物学者であったオスニエル・チャールズ・マーシュ(1831~1899)であった。

【写真】オスニエル・チャールズ・マーシュ photo by gettyimages

彼はイェール大学を卒業した後、アメリカやドイツで地質学や古生物学などを学んだ。そして、そのドイツで、北アメリカにはウマがいなかったと習ったのだ。

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次々と発見されたウマの化石

しかし、1868年に、マーシュはそれが誤りであることを明らかにした。といっても、生きたウマを見つけたわけではない。ネブラスカ州にあるアンテロープ駅の近くで、たまたま小型のウマの化石を発見したのである。

それを皮切りに、マーシュは次々と、北アメリカでウマの化石を発見していくことになる。つまり、かつては北アメリカにも、たくさんのウマが生息していたわけだ。

【写真】エクウス・シンプリシデンス(ヘイガーマン馬)の化石ヘイガーマン化石層国定公園(米国)で見つかった「エクウス・シンプリシデンス(ヘイガーマン馬)」の化石(National Park Servis/Photo:Faith Brown)

マーシュは学生にも協力してもらって、始新世(約5600万~3390万年前)から現在までの、大量のウマの化石を収集した。それらの化石を研究した結果、マーシュの目には、北アメリカにおけるウマの大きな進化傾向が浮かび上がってきた。

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