[週刊エンタメ]真田広之 「日本像」を徹底…ハリウッド時代劇「SHOGUN 将軍」

スクラップ機能は読者会員限定です
(記事を保存)

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

さなだ・ひろゆき 1960年、東京都出身。ジャパンアクションクラブに入団し、ドラマ「影の軍団」シリーズ、映画「里見八犬伝」などで注目される。大河ドラマ「太平記」、映画「たそがれ清兵衛」で主演。2003年の「ラストサムライ」以降、「47 RONIN」「ブレット・トレイン」など海外で活躍する=和田康司撮影
さなだ・ひろゆき 1960年、東京都出身。ジャパンアクションクラブに入団し、ドラマ「影の軍団」シリーズ、映画「里見八犬伝」などで注目される。大河ドラマ「太平記」、映画「たそがれ清兵衛」で主演。2003年の「ラストサムライ」以降、「47 RONIN」「ブレット・トレイン」など海外で活躍する=和田康司撮影

 映画「ラストサムライ」で世界に武士の神髄を見せつけた真田広之が、約20年を経て、再びハリウッド製作の時代劇「SHOGUN 将軍」(全10話)に挑んだ。今度は主演で、戦国日本を正しく描ききるため、本格的に制作にも加わった。会心の一作はディズニープラス・スターで27日から独占配信される。(辻本芳孝)

 「『日本人の役は日本人がやり、日本から時代劇専門のスタッフを呼ぶ。それを認めるなら引き受けますよ』と、条件を付けたんです」。企画段階だった2016年頃に主人公・吉井虎永役を打診された際のことを、真田は振り返った。

 原作は、作家ジェームズ・クラベルが1975年に発表した「将軍」。徳川家康らによる戦国の覇権争いをモチーフに、外国人も絡んで関ヶ原の戦いに突入していくさまを描く。80年に米でドラマ化された際は三船敏郎も出演。絶大な人気を博し、日本でも再編集版が公開された。

 約40年を経てのリメイクには使命を感じたという。「家康は子供の頃からのヒーロー。戦乱を終わらせ、平和な世を作るヒーローが必要な時代だけに、彼の歩んだ道を世界に紹介したいという思いにかき立てられました」

 主演に加え、日本文化に関する一切を担うプロデューサーも兼務し、真実性を徹底的に追求した。「今は少し調べれば何が正しくて何がフェイクかが分かる。物語に集中してもらうには極力本物のように作り込む必要があった」

京都から小道具・カツラ 文化の視点で脚本吟味

Courtesy of FX Networks
Courtesy of FX Networks

 裏方の布陣から固め、40年近く共に時代劇を作ってきた結髪や衣装、セットデザインの職人に声をかけた。所作や殺陣を若手らに教えるため、侍や侍女などそれぞれ専門の指導者を付けた。小道具やカツラは京都から。一部は和洋折衷の方法で制作した。

 脚本作りにも関わり、込み入った手順を踏んだ。「最初の原稿を、僕が文化としておかしくないかチェックする。日本語翻訳、歴史考証を経て脚本家がセリフにすると、また僕がキャラクターに合わせて直す。英語に訳して再び吟味してもらい、初めて台本になる」。西洋風にも現代風にもならないよう意識した。

 虎永とそのライバルは架空のキャラクターだが、モデルの家康と石田三成は演じた経験があり、背景は熟知していた。「脚本作りにも携わり、虎永のキャラクターや役割は染み込んでいたから、役に安心して集中できた。ここまで準備したご褒美として、『はい、演じていいよ。本業だろ』みたいな感じ。演じることをとにかく楽しめた」

 思うまま制作できたのは、世界が相手の動画配信サービスの潤沢な予算があったから。「映画へのこだわりもあるが、作り手や演者としてはより多くの人に見てもらいたい。世の中の変化にどう乗り、よりいいものを作り続けるか、でしょう」。メディアの変化を柔軟に受け止める。

 「ラスト――」出演を機にハリウッドに移住。「誤解された日本を描く時代を自分の世代で終わらせたかった」と理由を話すが、俳優の立場で意見するには限界があった。だからこそ今回、「プロデューサーという役職を得て、全ての経験をぶち込めた」。充実感に満ちた表情で語った。

完成試写会 称賛相次ぐ

完成試写会に登場した(左から)平岳大、二階堂ふみ、コズモ・ジャーヴィス、真田広之、アンナ・サワイ(東京都内で)
完成試写会に登場した(左から)平岳大、二階堂ふみ、コズモ・ジャーヴィス、真田広之、アンナ・サワイ(東京都内で)

 東京都内で行われた完成試写会では、プロデューサー・真田への称賛が相次いだ。虎永の家臣になる英国人ジョン・ブラックソーン役のコズモ・ジャーヴィスは「聞きたいことがある時、常にそこにいてくれた」と語った。

 石堂役の平岳大は「ご自身の出演がない日でも毎日、最初から最後まで現場にいて、エキストラの衣装や髪形を直すことまでしていた」と証言。厳寒のカナダで馬上の平が家来と話すシーンでは、離れた温かい場所から指示する監督の言葉を、真田が何度も行き来して伝えたという。「恐れ多くて芝居どころじゃなくなった」と、笑いながら明かした。

 虎永の配下の武将を演じた西岡徳馬も「撮影はコロナ禍の最中。ヒロ(真田)は二重のマスクにゴーグルを着け、感染しない万全の態勢で全シーンに現れた。俳優スピリットにみんな感動した」と振り返っていた。

  SHOGUN 将軍  太閤亡き後を託された五大老のうち虎永は、カトリック大名を味方にした石堂に謀反の疑いをかけられていた。虎永は、漂着した反カトリックの航海士ジョン・ブラックソーンと手を組み、石堂に対抗する。

スクラップ機能は読者会員限定です
(記事を保存)

使い方
「エンタメ・文化」の最新記事一覧
注目ニュースランキングをみる
記事に関する報告
5068986 0 映画 2024/02/24 05:00:00 2024/02/24 05:00:00 /media/2024/02/20240223-OYT1I50089-T.jpg?type=thumbnail

主要ニュース

おすすめ特集・連載

読売新聞購読申し込みバナー

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)