小林製薬「紅麹」問題 製品摂取後の死亡判明は4人に 影響拡大

「小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、新たに2人が亡くなっていたことがわかったと会社が発表しました。いずれも遺族から「紅麹コレステヘルプ」を摂取し腎臓の病気が疑われる症状があったと連絡があったということで会社は「原因となった疑いがある」として詳しい調査を進めています。

この問題で、複数の入院患者を診察した大学病院の医師が、NHKの単独インタビューに応じました。医師によりますと問題が明らかになる前の去年11月から先月にかけて、70代女性1人と50代の女性2人が、尿が泡立つなどの症状が出たり健康診断で腎機能の異常が指摘されたりしたためこの病院を受診したということです。3人はいずれも腎臓の病気も含めて持病はありませんでしたが、腎機能が低下していたということです。

※記事では診察にあたった医師のインタビューのほか「回収対象」となっている製品の一覧表をまとめています。

小林製薬の「紅麹」の成分が含まれた健康食品をめぐっては、摂取したあとに腎臓の病気を発症するなどして27日までに2人が死亡、106人が入院したことがわかっていました。

会社は新たに「紅麹コレステヘルプ」を摂取していた2人が亡くなったと遺族から連絡があったことを28日に発表しました。

会社によりますと、摂取していた時期は1人は2021年ごろ、もう1人は2022年初めごろと連絡があったということです。

「想定しない成分が入っていた可能性がある」とする製品が製造されたのは、去年4月から12月までで、時期が異なりますが、会社は「原因となった疑いがある」として調査を進めています。

この問題では、大阪市が27日「紅麹コレステヘルプ」など3種類の製品について、食品衛生法に基づき回収を命じる行政処分を出すとともに、製品に使われているものと同じ紅麹原料が取引先の52社に供給されていたことから、流通経路の特定に向けた調査を進めています。

これで製品を摂取した後に死亡したことが分かった人は4人となりました。

これまでの経緯 時系列

=28日の動き=

農水省 回収命令の対象3製品の回収協力を事業者に求める

農林水産省は、大阪市の回収命令の対象となった小林製薬の3つの製品について、国内に広く流通している可能性があり、健康被害の拡大を未然に防ぐ必要があるとして、全国の154の食品関連の事業者の団体に回収の協力を求める通知を28日に出しました。

通知では、製品の在庫がないかを確認してもらうことや製品を購入した人がいる場合は使用の中止を周知することを求めています。その上で、それぞれの団体に対して回収が確実に行われるように会員企業などへの呼びかけを徹底するよう要請しています。

17:00

厚生労働省の専門家による調査会 各社に自主点検求める

厚生労働省は専門家による調査会を開き、回収命令の対象となった3つの製品と同じ紅麹原料を使って製造された製品について、メーカーなど各社に自主点検を求めることになりました。

調査会は医師や、栄養学、薬学などに詳しい専門家などが出席して28日夕方から開かれました。

この中で、厚生労働省は、小林製薬の「紅麹」の成分が含まれた健康食品を摂取したあとに腎臓の病気を発症するなどして28日までに4人が死亡し、入院した人については会社からの報告でこれまで106人とされていましたが、重複などを除いた結果、のべ93人となったと報告しました。

また、医療機関を受診した人はのべ379人、会社が受けた相談件数はのべおよそ1万2000件にのぼっていると説明しました。

このあと、今後、小林製薬からサンプルやデータの提供を受け国立医薬品食品衛生研究所で原因究明を進めることが確認されました。

また回収命令の対象となった小林製薬の3つの製品に使用されたものと同じ紅麹原料を使って製造された製品への対応について協議が行われ、厚生労働省がメーカーなど各社に自主点検を求めることになりました。

対象は、▽小林製薬が直接紅麹原料を卸している企業52社と、▽これらの会社などから小林製薬の紅麹原料を入手している企業173社で、厚生労働省のホームページで公表しました。

自主点検を求めるのは、▽命令の対象となった3製品に含まれる量と同等以上の紅麹を1日あたり摂取することになる製品と▽過去3年間に、医師から健康被害が1件以上報告された製品です。

52社については29日までに、173社については来月5日までに自主点検の報告を求めています。

また会議では小林製薬が製造した紅麹を使った他社の製品1件について体調不良になったという申告が本人から寄せられたことも報告されました。

福岡県内で少なくとも13人の健康被害の相談(NHK調べ)

NHKが福岡県内の保健所を所管する自治体に取材したところ、県内でこれまでに少なくとも13人から健康被害を訴える相談が寄せられていることがわかりました。

内訳は福岡市と北九州市でそれぞれ3人、久留米市で2人、それ以外の地域で5人で、このうち、久留米市の1人と北九州市の1人は入院歴があり、現在は退院しているということです。

そのほかの人は軽症だとしています。相談者の多くが回収対象の製品の1つである「紅麹コレステヘルプ」を摂取していたということです。福岡市によりますと、相談者には手足のむくみやけん怠感、それにかゆみといった症状が出たということです。

複数の入院患者を診察した大学病院医師が取材に応じる

NHKの単独インタビューに応じたのは、東京・板橋区にある日本大学医学部の阿部雅紀主任教授です。

阿部主任教授によりますと問題が明らかになる前の去年11月から先月にかけて、70代女性1人と50代の女性2人が、尿が泡立つなどの症状が出たり健康診断で腎機能の異常が指摘されたりしたためこの病院を受診したということです。3人はいずれも腎臓の病気も含めて持病はありませんでしたが、腎機能が低下していたということです。

詳しい検査を行ったところいずれも薬剤などが原因で起こることが多い『尿細管間質性腎炎』と呼ばれる症状だったことから、薬の服用などについて尋ねると3人とも薬の服用はないものの、いずれも去年の春ごろから小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」を摂取し始めていたということです。3人は、1週間から数週間ほど入院し、腎機能は回復に向かっているということで、いまは退院して通院で治療を受けているということです。

このうち、50代の女性2人については自宅に残っていた、この健康食品を提供してもらいアレルギー反応を調べる血液検査を行ったところ、1人は反応が認められ、もう1人は反応は出なかったということです。

こうした経過について阿部主任教授は「3人がいずれも腎臓病やほかの持病がなく薬も服用していなかった。同じような時期に共通してこの健康食品を摂取していて、ほかに原因が考えられなかった」と話しています。

このため阿部主任教授たちは先月1日、小林製薬に問い合わせましたが、当時は同様の情報はないと説明を受けたということで、その後、※2月22日に病院を訪れた会社側の担当者に症状について詳しく伝えたということです。
(※当初掲載した際、2月29日としていましたが医師が22日と訂正しました)

阿部雅紀主任教授は「入院した3人のうち1人は、腎機能がかなり悪化していた。いずれもそのまま放置していれば透析治療が必要になるおそれがあった。こうしたケースで、仮に心臓の病気など合併症があれば、命に関わる可能性もあると考えられる。腎臓の病気は自覚症状が乏しく、見過ごされがちで、尿の泡立ちや色の変化など異常を感じることがあれば、すぐに受診して欲しい。また、会社には原因となる物質を早く特定して欲しい」と話していました。

商品回収など対応追われるドラッグストアも

高知市に本社を置くドラッグストアチェーンでは、機能性表示食品、「紅麹コレステヘルプ」を販売していましたが、すでにすべての商品を店頭から回収したほか、店内に「ただちに使用を中止してほしい」と書かれた案内文を貼るなどして客に注意を呼びかけています。

ドラッグストアの店長は「急きょ店頭から該当する商品を撤去しました。この商品を購入した方がいれば返品の対応を取るほか、小林製薬が設けた相談窓口を案内したい」と話しています。

ファミリーマート 3商品の販売中止・自主回収へ

ファミリーマートが自主回収を行うのは、小林製薬の紅麹原料を使用し、今月19日から28日まで販売された弁当や総菜などの3つの商品です。

このうち「ビビンバ炒飯&サムギョプサル」は、沖縄県を除く全国で販売されたほか「わかめと玉子のクッパ風スープ」は一部を除く関東と東海で、「キムチチャーハン」は沖縄県でそれぞれ販売されたということです。

会社によりますと、小林製薬が「想定していない成分を含む可能性がある」とする紅麹原料には該当しないものの、安全の確保に万全を期すため、原因が明らかになるまで販売を中止するとしています。また、自主回収にあたっては、店舗で返金に応じるとしています。

ファミリーマートは、「お客さまにはご心配をおかけしたことを深くおわび申し上げます。引き続き情報収集をするとともに適切に対応してまいります」としています。

「機能性表示食品」1700事業者に緊急の質問状 消費者庁

消費者庁は機能性表示食品の安全性を点検するため、届け出を行っているおよそ1700の事業者に対して健康被害がないかなどを確認する緊急の質問状を28日付けで送付したことを明らかにしました。

消費者庁の新井ゆたか長官は28日の会見で、「機能性表示食品として届け出がなされている7000の製品の事業者に対して健康被害の情報の有無や適切な報告が行える態勢が整っているかなどの確認を大臣から指示を受けた」などとして、28日付けで機能性表示食品を届け出ているおよそ1700社の事業者に対して緊急の質問状を送ったことを明らかにしました。

質問は、それぞれの製品について重篤な被害をもたらすような情報が、医療従事者から寄せられていないかどうか。寄せられている場合はどういう対応をしているのか、また情報があっても、消費者庁に報告をしていない場合は、それはなぜか、報告態勢は整っているかなどについて、自由記述で尋ねているということです。

回答の期限は4月12日をめどとしていて、結果は公表するということです。

また、小林製薬の紅麹を使った機能性表示食品として届けられている9つの製品については、いずれも27日までに届け出が撤回されたということです。

富山市が回収命令の2製品製造の市内2工場を調査

富山市は、大阪市からの依頼を受けて27日に食品衛生法に基づいて健康食品を製造していた市内の2つの工場で聞き取り調査を行いました。

富山市によりますと、大阪市が回収を命じた3つの製品のうち、小林製薬のグループ会社「富山小林製薬」の工場では「ナイシヘルプ+コレステロール」を健康食品製造メーカー「バイホロン」の大沢野工場では「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」をそれぞれ製造していたということです。

調査では、製造工程や1日あたりの製造量、それに健康被害の報告がないかどうか保健所の職員が聞き取りで確認したということです。市によりますと、製造工程に問題は見つからず健康被害の報告もないということで、富山市は28日午後に聞き取り結果を大阪市に報告したということです。

「富山小林製薬」と「バイホロン」は、いずれも「小林製薬本社の広報が対応するのでコメントできない」としています。

岐阜の紅麹コレステヘルプ製造会社「管理に問題はなし」

岐阜市に本社がある健康食品・医薬品メーカーの「アピ」は小林製薬から委託を受け、岐阜県池田町にある池田工場で長期にわたって「紅麹コレステヘルプ」を製造していて、工場には大阪市から依頼を受けた岐阜県が26日に調査に入りました。

メーカーは、小林製薬から供給された原料を手順書に従って錠剤に加工していたほか、衛生面や品質の管理は徹底し何かが混入することはないとしています。また、健康被害は去年9月以降に製造されたものを食べた人に偏っていますが、その前後で製造方法が大きく変わったことはないとしています。

「アピ」は「原料や製品の管理に問題はなかったと考えている。保健所の調査には協力していきたい」としています。

大阪市 横山市長 一刻も早い原因究明と情報開示求める

今回の問題について大阪市の横山市長は「現時点ではまだ解明されていないが、『疑いがある』というかたちであわせて4人が亡くなった。大阪市としても引き続き厚生労働省やほかの自治体と連携をとって対応に当たっていく」と述べました。また会社の対応については、「これだけ被害の疑義が出ている状況で、多くの国民も心配している」と述べました。そのうえで「原因の物質や、どのロットや製造過程に問題があったのかを特定するのは大変かとは思うが、とにかく早く究明し、関係先への情報共有を可能な限り早く進めてほしい」と述べ、改めて会社側に対して一刻も早い原因究明と情報の開示を求めました。

株主総会に出席した株主は

70代の男性は「この問題に対して会社が責任をもって対応しようとしていることが分かりました。ただ、これだけの健康被害の事例が出ているのに商品との因果関係を認めていないことについては企業の受け止めとして不十分さを感じます」と話していました。

60代の男性は「『被害は収まるのか』という株主からの質問に『分からない』と答えていて、費用の試算などがしっかり検討できていないと感じました。経営責任について問われた社長は『今は事案への対策をやっていく。その後のことは分からない』と答えていました」と話していました。

70代の女性は「新たに2人が亡くなったという説明があり驚きました。分からないことが多いので会社の体制を見直す前にこの問題への対応をいち早くしてほしいです。出席した株主から社長に向けて応援することばが投げかけられると、社長は涙を流していました。応援する株主もいるのでしっかり頑張ってほしい」と話していました。

12:00すぎ

小林製薬の株主総会 2時間ほどで終了

会社側が提出した小林社長を含む7人の取締役の選任議案などが可決され、株主総会は正午すぎに終了しました。

会社によりますと、株主からは「最初に健康被害を把握してから回収までの対応が遅かったのではないか」とか「今後も死者が増えるおそれがあるのか」という質問が出たということです。これに対し会社側は調査に時間がかかったことや因果関係がまだ明確になっておらず、ひとまず使用の中止と体調を崩した人の回復を目指していると説明したということです。

11:10すぎ

岸田首相「必要ならばあらゆる対応を検討」

岸田総理大臣は参議院予算委員会で「きのうまでの報告に加えて本日、死亡との関連が疑われる事象が追加で2件あったことが明らかになり、報告を受けた」と述べました。また再発防止策を講じるよう求められたのに対し「原因の特定を進めた上で再発防止のため、いかなる施策が必要なのか、政府としても検討していく。必要ならば、あらゆる対応を検討しなければならない」と述べました。

11:00すぎ

官房長官“WHO=世界保健機関への情報提供も実施”

林官房長官は午前の記者会見で「健康被害の原因となった物質と、物質が製品に含有されるに至った原因の特定を含めて関係省庁が一丸となって食の安全の確保に全力を尽くし、再発防止のためにいかなる施策が必要かも検討していく。小林製薬には、原因究明に向けた取り組みへの迅速かつ真摯(しんし)な対応を求める」と述べました。そのうえで「政府の取り組みや把握した情報についてはWHO=世界保健機関への情報提供や在外公館を通じた外国政府への情報提供を実施しており、引き続き、適時適切に海外にも発信し、日本の食品への信頼の確保に努めていく」と述べました。

10:30ごろ

立民 長妻政調会長「政府などにヒアリング行う」

立憲民主党の長妻政務調査会長は記者会見で「機能性表示食品は2015年に安倍政権のもと、規制緩和の一環として始まったが、国の審査はなく、当初から問題があると言われていた。健康に関わることなので、もっと国の関与を強めるべきだ。政府には、今回の問題の根本的な原因を解明し、改善策を出してほしい。消費者庁など政府にヒアリングを行っていく」と述べました。

厚生労働省 専門家による調査会開催へ

厚生労働省は28日午後5時から、医師や、栄養学、薬学などに詳しい専門家を集めた調査会を開いて、大阪市の回収命令の対象となった製品について、小林製薬の担当者から説明を受けた上で、これまで回収命令の対象になっていない小林製薬の紅麹を原料とする製品への対応などについて、専門家から意見を聞くことにしています。

厚生労働省は専門家の意見も踏まえて、今後の対応を検討することにしています。

小林章浩社長が株主総会の冒頭で謝罪

小林製薬は、非公開で行われている株主総会の冒頭で小林章浩社長が発言した内容を明らかにしました。それによりますと、はじめに「当社が販売しておりました機能性表示食品『紅麹コレステヘルプ』などを摂取された方において腎疾患等が発生し、多大なるご迷惑をおかけしておりますことを深くおわび申し上げます」と謝罪したということです。

このあと、株主に問題の経緯を説明し「お亡くなりになったお客様のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様に衷心よりお悔やみ申し上げます。また、健康被害にあわれた方の一刻も早い回復をお祈り申し上げます」と述べたということです。

そして、大阪市による行政処分などについて説明した上で「健康被害にあわれた方への対応、お客様、取引先への対応を真摯に行うとともにこれ以上の被害拡大防止と原因究明に、全社をあげて、全力をあげて取り組んでまいります。あらためて深くおわび申し上げます。このたびは申し訳ございませんでした」と述べたということです。

10:00

小林製薬の株主総会 大阪で始まる

小林製薬の株主総会が午前10時から大阪・北区のホテルで始まりました。株主総会は非公開で行われていますが、小林章浩社長が今回の問題への対応について株主に説明しているとみられます。

また総会では、会社側が小林社長を含む7人の取締役の選任議案などを提出していて、審議が行われる見通しです。

総会を前に株主からは説明求める声 相次ぐ

60代の株主は「会社が上場したときから株主で、信頼していたのに人の命に関わる問題が起きてショックです。原因をどのように調べて、いつごろ判明するのかが会社側に一番聞きたいことです」と話していました。

また70代の株主は「製品を回収するまでの対応が遅く、経営側の問題だと感じています。社長がいつ知ったのか、どのように思っているのかを聞きたいです」と話していました。

30代の株主は「製品と健康被害についての関係性が分かっているわけではありませんが、こうした事態になっていることに対して株主としては怒りや悲しみを感じます。会社には丁寧な対応をしてほしいです」と話していました。

=紅麹とは?機能性表示食品とは?=

紅麹とは

「紅麹(べにこうじ)」は米などの穀類に紅麹菌を繁殖させてつくられたもので、古くから食品の着色料などとして使われてきました。

紅麹の「ロバスタチン」という成分にはコレステロールを低下させる作用があるとされ、紅麹由来の健康食品などが多く販売されています。

一方、紅麹菌の中には「シトリニン」というカビ毒をつくるものもあり、腎臓の病気を引き起こすおそれがあるとされています。

国の食品安全委員会によりますと、ヨーロッパでは紅麹由来の健康食品による健康被害が報告されていて、EU=ヨーロッパ連合は健康食品に含まれる「シトリニン」の基準値を設定しているということです。

小林製薬によりますと、今回の報告を受けて成分を分析したところ、「シトリニン」は検出されなかったということです。

一方で「シトリニン」とは別の未知の成分の存在を示す分析結果が得られたということで「意図しない成分が含まれている可能性が判明した」としています。

内科専門医「紅麹そのものが悪者というわけでは決してない」

「紅麹」について、名古屋大学特任教授で総合内科専門医の柴田玲医師は「紅麹は紅麹菌というカビの一種で米など穀物類を発酵させてつくられ、中国や台湾などでは薬膳や漢方薬として使用している。また、医薬品としてコレステロールを下げるために使う薬の成分と同じ成分が紅麹の中には含まれている。健康食品として使っているのに加えて、例えば着色料などたくさんの分野で出荷されている」と話しています。

もしも、対象となった商品を口にした場合はどうすればいいのかについては「まずはおしっこの出が悪くなったとか、すごく手足がむくむなとか、そういった症状があれば医療機関に相談してほしい」と話しています。

一方で消費者には冷静な対応を呼びかけていて、柴田医師は「紅麹そのものが悪者というわけでは決してない。該当する食品や製品とは別の物で紅麹を摂取している方が極端に不安に思う必要はないので、このあたりは十分理解して欲しいと思う」と話しています。

「機能性表示食品」とは

「機能性表示食品」は、パッケージに、健康の維持や増進に役立つという食品の機能を表示したものです。

販売前に、事業者が食品の安全性や機能性の科学的な根拠などを、国が定めるルールにのっとり消費者庁に届け出て公表する必要がありますが、許可制ではなく、国の審査も行われないため、事業者の責任で適正に販売することになっています。

効果や安全性を国が審査する「特定保健用食品」や、すでに科学的な根拠が確認された栄養成分を一定の基準量を含めば国が定めた表現によって機能性を表示できる「栄養機能食品」とは異なる制度となってます。

=「回収命令」を受けた小林製薬の3製品=

大阪市は、有害な物質が含まれている疑いがあるとして27日に「紅麹」の成分を含む「紅麹コレステヘルプ」「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」「ナイシヘルプ+コレステロール」の3種類の製品について、食品衛生法に基づき、回収を命じる行政処分を出しました。

回収の対象となるのは、あわせておよそ100万個で、市は回収が完了した時点で改めて製品の廃棄命令を出す方針です。

これ以外にも、全国では紅麹原料を使った製品を自主回収する動きが相次いでいます。

=自主回収となった「紅麹原料」使用製品=

これらの製品による健康被害は今のところ確認されていません

厚生労働省は、小林製薬が製造した紅麹原料を使った製品のうち、事業者が届け出た自主回収の対象となっている製品の情報をまとめてホームページで公表しています。

厚生労働省は、食品衛生法違反のおそれがあるとして、自主回収となった食品について新たな健康被害の発生を防ぐため事業者に対し、「食品衛生申請等システム」での報告を義務づけて公表しています。

厚生労働省によりますと、今回の問題を受けて、小林製薬の紅麹原料を使った製品を、各社が自主回収する動きが相次いでいて、28日午前10時半の時点で、54件の自主回収の届け出があったということです。

各社が届け出た情報によりますとこれらの製品では、今のところ健康被害は確認されていないということです。

厚生労働省は、これらの製品が手元にある場合は購入した店舗やメーカーに連絡するほか、ホームペ-ジのリストに掲載された保健所でも、体調不良などについての相談を受け付けているということです。