2024年4月22日、日本財団は、アメリカカルフォルニア州のミネルバ大学と一般社団法人ミネルバジャパンの3者間で、日本に於けるミネルバ大学の拠点設置に関する包括連携協定を締結した。詰込み型教育や学費高騰といった諸課題に対して協働し、日本の大学・地域・企業等と連携した学習プログラムで新しい教育モデルの構築を図る。

 日本拠点プログラムの開始は、2025年秋を予定し、約150人の学生が来日予定。世界が直面する諸課題(少子高齢化、持続可能性など)の影響を真っ先に受ける日本で、ミネルバ大学生と日本の大学生たちが協力しながら課題解決に取り組めるようにミネルバ大学と日本財団が共に準備する。

 日本財団は大学に対してすでに約2.5億円の支援を決定しており、今後10年間の支援を継続していく予定。笹川奨学金を活用した日本学生の入学支援、大学と日本の大学・地域・企業との連携や、インターンの紹介等を担う。

 ミネルバ大学は、2014年9月に開校した創立10年目の4年制総合大学。設立にはハーバード大学をはじめとするアイビー・リーグの学長、学部長らが参画し、2022年には、国連関係機関により「世界で最も革新的な大学」として選出された。学生の8割以上を世界の約100カ国からの留学生が占める多様性を実現している(このうち、日本国籍を有する学生は2024年4月現在26名)。

 ミネルバ大学の授業はオンライン・プラットフォームを利用するため、世界中のどこからでも受講が可能。その一方で、学生たちは在学中の4年間で世界7カ国の主要都市を巡り、現地の企業・NPO・行政・研究機関等と協働したプロジェクト学習・インターンに携わる(ローテーションプログラム)。こうした既存の大学では得られない経験を在学中に積むことで、未知の分野でも活躍できる実践的な人材を育成している。

 締結式記者会見の場に参加したミネルバ大学のマギー学長は、「日本財団と連携し設立する日本拠点は、約1年という長期にわたり滞在して学ぶ拠点として、サンフランシスコ以外では初めての試みとなる。これにより、学生たちがどのように日本文化や歴史をより深く学んでいくのか、今後の展開をとても楽しみにしている」と力強く語った。

 日本財団の笹川陽平会長は、「学生は4年間で世界7カ国を移り住んで、各国の社会問題に取り組み多種多様な価値観や能力を身につけることを目的とした革新的な大学である。我々の人材養成の最高峰としてミネルバ大学と協力をしていくことに合意致した」と述べた。

参考:【日本財団】ミネルバ大学と包括連携協定を締結

大学ジャーナルオンライン編集部

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