「三代目 茂蔵(しげぞう)」というお店をご存じだろうか? 関東を中心に展開する豆腐専門店で、公式Xアカウントには「豆腐、豆乳、おからを使い『いいものをより安く』お届けする」と書かれている……のだが。

先日たまたま通りがかったら、なんと「うな重」が売られていた。しかも税込627円と激安である。まさかこれも豆腐から……!? だとしたらヤバすぎるので買ってみることに。

・激安うな重

店頭POPに「茂蔵名物」と書かれている「茂蔵」のうな重。たしかに店内には惣菜やスイーツなど、豆腐以外の商品も数多く並んでいるが、まさかうな重まであるとは知らなんだ。


こんな値段でうなぎを出しているのは「宇奈とと」くらいではなかろうか? ただ困ったことに……


中がまったく見えない。これはちょっと怖い。いざ開けたら、チロルチョコサイズのうなぎがちょこんと載っているだけかもしれない。もはや うな重のサンプル動画。


果たしてその実態はいかに?


気になる中身が……



これだッ!!!

・しっかりうな重

まずはチロルチョコサイズじゃなくて一安心だ。大きさは「宇奈とと」で一番安い590円のうな丼と同じくらいだろうか。どちらも中国産である。


それをレンチンして食べるということで、ぶっちゃけそこまで期待していなかったのだが……結論から述べると悪くない。ぶよぶよとした嫌な食感もない。至極まっとうにおいしいうなぎと言っていいだろう。

・少ないけど美味

うな重単体としては少々ボリュームに欠けるものの、飲んだ後のシメ、あるいは酒のつまみとしてチビチビ食べるにはちょうどいいと思う。たった627円で、うなぎを食べたという満足感が得られるのだから安いものである。


だがしかし……



「茂蔵」のうな重を食べながら、私(あひるねこ)はうな重にとってもっとも大事なものは何か考えていた。そして最終的に辿り着いたのが、実はうなぎではなくご飯という結論だ。

・最重要ポイント

「茂蔵」のうな重は純粋な白米ではなく、うるち米ともち麦のブレンドで、全体的にもちっとした炊き込みご飯のような仕上がりになっている。もちろんこれはこれでおいしいんだけど……個人的にどうも引っ掛かるんだよな。


食べていてなんかこう、今一つ芯を捉えられていないというか。他に辿り着くべきゴールがあるというか。王道より先に邪道に手を出したがる新人作家というか。

そういった煮え切らないイメージが次々と湧き上がってくるのだ。

うな重って、シンプルにうなぎのタレと白いご飯でよくない? いやそれどころか、タレとご飯だけで十分ではないか? 何ならタレがかかったご飯を食べたいがために、うな重を食べていると言っても過言ではない。



・うなぎ不要論

「茂蔵」のうな重はたしかに安くてウマい。しかし、そういう意味では私が求める うな重とはちょっと違った。むしろ数年前に話題なった「うなぎを絶滅の危機から救う天才的うな重」の方が、うな重の本質を体現しているという可能性も否定できないだろう。


「何を言っているんだお前は」と思ったあなた。私も何を言っているのか分からないので、こんな戯言は放っておいて安心して「茂蔵」のうな重をお買い求めください。それではよいゴールデンウィークを。

参考リンク:三代目茂蔵
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.