「このロボットは遠隔操作じゃありません」というアピールの理由

  • X
  • Facebook
  • LINE
  • はてな
  • クリップボードにコピー
  • ×
「このロボットは遠隔操作じゃありません」というアピールの理由
Image: Shutterstock

常に世間を騒がせ続けるイーロン・マスク氏。手がける事業も、Xでの発言も、何したって目立っちゃうマスク氏。本人だけでなく周り、大きく言えば業界そのものも、マスク氏の波に巻き込まれがちです。

最近だと巻き込まれて神経を尖らせているのは…ヒューマノイド業界です。

そのロボット、遠隔操作では?

昨今のロボット業界が気にしていること。気にしなくてはいけなくなってしまったこと。それは見ている人の不信感。

「そのロボット、本当に自分で動いてるの? どうせ遠隔操作なんでしょ?」

中国のロボット企業Astribot。YouTubeで最新ロボAstribot S1のデモ動画を公開しています。お料理したり、Tシャツ畳んだり、ワイングラスにワイン注いだり。

気になるのは動画の左下に表示され続けている「No Teleopration(遠隔操作はしていません)」の文字。

Video: Astribot / YouTube

OpenAIのヒューマノイドFigure。3月に公開されたデモ動画でも、OpenAI共同創設者のBrett Adcock氏が、すぐにXで「遠隔操作はしていない」と明言。

カナダのロボット企業Sanctuary AIも最新デモ動画を公開。動画の途中で「操作は自動です」という画面が出ます。画面いっぱいにたっぷり5秒も出ます。

Video: Sanctuary AI / YouTube

なぜ、ロボット企業がこんなにも「遠隔操作してないですよ」とアピールするのか。たぶんですけど、動画公開が去年なら、そのアピールしていなかったかもしれません。

ロボ動画に対して「遠隔操作じゃないの?」という不信感が強まったのはなぜか。そう、マスク氏です。

マスクのロボは遠隔操作

遠隔操作じゃないの?という不信感が生まれたのは、マスク氏率いるTesla(テスラ)が開発するヒューマノイドOptimusのデモ動画が発端。

黒いシャツを丁寧に畳んでいるOptimusの様子が公開されたのですが、これ、ちょっと離れたところで人間がロボを遠隔操作していたことが判明

遠隔操作が悪いわけではありません。昔々からある技術です。問題は、現代ではロボットの自動化が着目されているということ。見ている人が勝手にロボットは自分自身で動いている=自動化だろうという思い込んでしまっているのです。最新のロボットデモ動画ならば、当然そうなのだろうと…。

でも、マスク氏のロボットは違いました。

マスク氏は、Xに動画を投稿後、すぐに自動運転ではないと追記しています。自動化と思わせようとしたわけではなく、こっちが勝手にそう思ちゃっただけ。思っちゃっただけなんだけど、動画では遠隔操作する人が映っていないことから(でも、ちょっと見切れちゃってて発覚)、どうしても誘導された気持ちになります。

最初にOptimusが発表されたのは2021年。そのときはロボットそのものではなく、全身タイツを着た人間がロボット風パフォーマンスで登場したことを思えば、その後手を振ったり、ダンスをしたり、遠隔操作でもシャツを畳んでいるのは大きな進化なんですけどね。ただ、マスク氏が意気揚々と語るOptimusの構想にはまだまだ及ばないので、やっぱりガッカリ感が出ちゃう。

ロボット業界が見ている人の不信感と戦うトレンドは、もう少し続きそうです。

OpenAIのロボット。会話はスムーズでゴミ拾いも片付けも「お上手」

Teslaのイーロン・マスク氏とOpenAIのサム・アルトマン氏のライバル関係は、AIにとどまらずロボット事業にまで広がっています。気が合うんだか、合わないん...

https://www.gizmodo.jp/2024/03/openai-figure-01-robot-video-tesla-optimus-embarrassing.html