トランプ氏、ハリス氏の出自巡り「突然黒人になった」と攻撃 波紋呼ぶ

[シカゴ/ヒューストン/ハリスバーグ(ペンシルベニア州) 31日 ロイター] - 米大統領選の共和党候補となったトランプ前大統領は31日、民主党の候補指名を確実にしたハリス副大統領について以前はインド系だとアピールしていたのに「突然黒人になった」と攻撃した。シカゴで開かれた全米黒人記者協会の年次総会で発言した。
トランプ氏は「ハリス氏はずっとインド系だったし、そのことだけをアピールしていた。数年前までは彼女が黒人だとは知らなかった。それが突然黒人になって、今では黒人と思われたがっている」と述べた。聴衆の一部からはやじが飛んだ。
自身はインド系、黒人のどちらにも敬意を持っているとし、ハリス氏に「そういう気持ちがないのは明らかだ」と主張した。
ハリス氏はインド系移民の母親とジャマイカ系の父親を持ち、以前から出自は黒人でかつアジア系だと説明している。
<ハリス氏は無礼と反発>
ハリス氏はテキサス州ヒューストンで黒人女性団体の集会に出席し、トランプ氏の発言について、分断をあおる内容で無礼だと批判。トランプ氏在任中の4年間を思い起こさせるもので、「米国人はもっと良い扱いを受けるべきだ」と訴えた。
7月31日、 米共和党のトランプ前大統領(写真左)は、民主党のハリス副大統領について「インド人なのか、それとも黒人なのか」と述べ、出自を巡って攻撃した。 シカゴで開かれた全米黒人記者協会の年次総会で撮影(2024年 ロイター/Vincent Alban)
ハリス氏は大統領選に立候補してからオンライン上で女性差別的、人種差別的な攻撃を大量に受けている。共和党指導部は議員に対し、ハリス氏への個人攻撃をやめて同氏の政策に焦点を当てるよう呼び掛けている。
トランプ氏は黒人票の取り込みを狙い全米黒人記者協会の総会に登壇。黒人が人口に占める割合が高い選挙区でも相次ぎイベントを開いている。
同総会で司会者がトランプ氏の過去の人種差別的な発言に触れながら黒人有権者が同氏を支持すべき理由を問うと、トランプ氏は「侮辱的」「敵対的」なひどい質問だと憤った。その上で自身が「リンカーン大統領以来、黒人にとって最高の大統領だった」と主張。聴衆からは不満の声が上がった。
また、6月のバイデン大統領との討論会での発言を繰り返す形で、メキシコ国境から流入する不法移民が「黒人の仕事を奪う」と語った。
トランプ氏はその後、ペンシルベニア州で開かれた集会でハリス氏の出自に関する発言を繰り返さなかったが、登壇前に舞台のスクリーンにはハリス氏がインド系米国人と強調する古い報道記事が映し出された。
共和党のストラテジスト、ウィット・アイレス氏はトランプ氏がハリス氏の人種的背景に疑問を呈したことは「賢明ではなかった」と指摘。「出自で攻めなくても政策課題でハリス氏を攻撃する余地が大いにある」と述べた。

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トムソン・ロイター

Bianca Flowers is an award-winning multimedia journalist based in Chicago where she focuses on enterprise stories in areas of race, inequality, identity and social justice. She joined Reuters in 2022 as a manufacturing correspondent, covering the bedrock of the U.S. economy. She reported on labor unions strikes, corporate finance for global agriculture and construction companies and the impact of automation and artificial intelligence in the industrial sector. Prior to joining Reuters, she was a Senior Video Journalist at Dow Jones, covering short and long-form features on personal finance, income inequality, and diversity in the tech industry.