日経平均株価、一時2600円安 米景気懸念・円高で売り

世界の株式市場の動揺が続いている。5日の東京株式市場で日経平均株価が急落し、前週末比の下げ幅が一時2600円を超えて3万3200円台まで下落した。取引時間中としては1月4日以来7カ月ぶりの安値水準をつけた。米国の景気後退への警戒感が強まっているほか外国為替市場で円高進行が止まらず、運用リスクを回避する売りが加速した。
主力株の多くが、午前9時の取引開始直後に値がつかない売り気配で始まった。東証プライム市場では全体の95%超の銘柄が下げるほぼ全面安になった。三井住友フィナンシャルグループや第一生命ホールディングスは制限値幅の下限(ストップ安水準)まで下げた。半導体や自動車関連株も売られ東京エレクトロンが一時10%安となった。
日経平均は1〜2日に計3192円(8%)下げ、5日は日中下落率が一時7%と株安がさらに勢いづいた。相場変動率の拡大や先行き不透明感から、機関投資家が日本株の買い持ちをいったん手じまう動きが続いている。
みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「米株安や円高などグローバルなリスク回避で、空売りではなくロングポジションを手じまう動きが下げの主体となっている」と指摘する。連日の急落で耐えきれなくなった投資家による損失限定の処分売りも膨らんだようだ。
東証株価指数(TOPIX)も一時8%安と急落し、大発会の1月4日につけた終値での年初来安値(2378)を下回った。大阪取引所はTOPIX先物の取引を一時中断する「サーキットブレーカー」を発動した。相場急変時に投資家に冷静な判断を促すための措置で、同先物で実施されるのは東日本大震災直後の2011年3月15日以来となる。JPX日経400先物や東証グロース市場250指数先物も大幅安で取引を一時中断した。
市場では米国経済の先行きに懸念が強まっている。2日発表された7月の米雇用統計で就業者数の伸びが市場予想を下回るなど、経済の減速を示す統計が相次ぎ、投資家心理が冷え込んだ。株高をけん引してきた米ハイテク株安も重荷になっている。
5日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時1ドル=143円台まで急伸した。1月上旬以来およそ7カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。景気下振れに対応した米利下げ観測が強まるなか、日米の金利差縮小を意識した円買いが進んでいる。
株安は他のアジア市場でも続いた。韓国の総合株価指数(KOSPI)が前週末比で一時4%超下げたほか、台湾加権指数は6%超下げる場面があった。
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