KADOKAWA Technology Review
×
生成AIが再定義する、真にユーザー中心のUI/UX
AJ Pics / Alamy Stock Photo
コンピューティング 無料会員限定
AI’s growth needs the right interface

生成AIが再定義する、真にユーザー中心のUI/UX

チャットボットは私たちがコンピュータとやり取りするうえで決してベストな方法ではない。ユーザー体験(UX)デザイナーであるクリフ・クアンは、生成AIによってユーザー自身が理想的なインターフェイスを作れる未来を想像する。 by Cliff Kuang2024.09.05

この記事の3つのポイント
  1. LLMを活用し音声とタッチを組み合わせたインターフェイスが未来を切り開く
  2. チャットボットは汎用インターフェイスとしては機能せず期待とギャップ
  3. ユーザーがAIを使い目的に合わせてアプリを自由に作れるのが理想的だ
summarized by Claude 3

サンフランシスコの人工知能(AI)ブームの震源地、ヘイズバレーを散歩しているときに、最初に見かけたパッファーベストの若い男性にインターフェイスの未来について質問したら、おそらく映画『Her/世界でひとつの彼女』について言及するだろう。電子メールの整理から旅の予約、テキストメッセージの仕分けまで、あらゆることを手伝ってくれる、おしゃべりなバーチャル・アシスタントの話が出るに違いない。

くだらない。『Her』(上にこの映画のスチールを掲載した)では、テクノロジーが私たちを操って一方的な関係に陥れる様子が描かれているが、それはさておき、チャットボットがコンピューターを利用する最良の方法であると信じるにはプリンのような脳みそが必要だろう。本当の可能性はすぐ近くまで来ているが、それはチャットボットではない。

そうではなく、私たちが知っている視覚的なインターフェイスの上に構築されてはいるが、最も自然な形の音声とタッチの組み合わせを通して、よりスムーズにやり取りできるコンピューターこそが、本当に可能性のあるインターフェイスの未来である。重要なのは、それが単に使えるだけのコンピューターになるわけではないということだ。それはまた、私たちが望むあらゆる目的のために、自らを壊して作り変える力を与えてくれるコンピューターでもある。

チャットボットでは上手くいかない理由は、スマートフォンが200億台も売れたという単純な事実を無視しているからだ。コンピューターが有用であるためには、私たちにコンピューターの能力と限界の両方を簡単に理解するメンタル・モデルが必要だ。スマートフォンの勝利は、グラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)の上に築かれた。GUIは私たちのコンピューターの使い方(そして使うコンピューターの台数)に革命をもたらした。GUIによって、コンピューターに何ができるのか、簡単にわかるようになったからだ。そこに謎はなかった。瞬時にアイコンが表示され、私たちは知らず知らずのうちに使い方を学んだ。

今日、私たちはGUIを当たり前のように受け入れている。一方、チャットボットは魔法のように感じられ、何を言ってももっともらしい答えが返ってくる。しかし、魔法は誤解を招く力でもある。チャットボットやオープンエンドの会話システムは、汎用インターフェイスとしては絶望的である。何でも理解できるように見えるかもしれないが、実際には何でもできるわけではないからだ。

その理想と現実の間の隙間に、役に立たないアイデアや致命的に誇大宣伝された製品が、今にも崩れそうに積み重なっている。

「でも、チャットボットがフライトの予約を手伝ってくれるかもしれないよ?」とあなたは言うかもしれない。もちろんだ。しかし、問題が起こったときに予約を変更してくれるだろうか? 金曜の2時までにヘイズバレーに戻る必要があるとしたら、どのフライトがベストなのか尋ねてくれるだろうか?

私たちはGUIがあまりにも優れているがゆえに、そのインタラクティブな機能を当たり前のように受け入れている。しかしチャットボットの場合、その能力の範囲を前もって知ることは決してでき …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Inside the tedious effort to tally AI’s energy appetite 動画生成は別次元、思ったより深刻だったAIの電力問題
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
  3. When AIs bargain, a less advanced agent could cost you 大規模モデルはやっぱり強かった——AIエージェント、交渉結果に差
  4. IBM aims to build the world’s first large-scale, error-corrected quantum computer by 2028 IBM、世界初の大規模誤り訂正量子コンピューター 28年実現へ
  5. These new batteries are finding a niche ナトリウム電池、ニッチ分野で存在感 スクーター、送電網などで
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る