Konifar's ZATSU

私はのび太の味方じゃないわ、悪の敵よ

憧れている人はいるか

チームメンバーや他社のエンジニアとの 1on1 の中で、「憧れている人とかいますか?」という話をすることがある。この質問はわりと継続して聞いているなと思ったので雑に書いておきたい。

チームメンバーとの 1on1 で聞くのは半年ごとくらい。目標設定など、たまにはちょっと中長期の話でもしますかってタイミングで話している。いわゆる"キャリア"の雑談である。

自分は「1年後/3年後どうなっていたいか?」みたいな質問がすごく苦手で、うまく答えられたことがない。どうなりたいかを明確にするのは大事なことだと思うけれど、正直3年後とか何もわからんという気持ちになる。自分ができないのでチームメンバーにも聞けない。

そこで、違う聞き方として「憧れている人はいるか?」という雑談をしている。この質問は人によって回答がぜんぜん違うのが面白い。

たとえばiOSエンジニアだと @k_katsumi さんとか。Go書いてる人だと @mattn_jp さんとか。Androidエンジニアだと @new_runnable さんとか。マネジメントやってる人だと @dora_e_m さんとか。シニアなエンジニアからは @yusukebe さんとかも話にあがる。自分の場合、最近は何年もひとつのプロダクトや組織にコミットして成長させている人に憧れている。@naoya_ito さんとか @kyuns さんとか @lalha2 さんとか。

過去に一緒に働いていた方をあげる人も多い。

バイネームで答えてくれると、それを切り口にしてどういうところに憧れているかを深ぼって話すことができる。このスライドがすごくよかったとか、ライブラリ公開して世界中で使われてるのかっこいいよねとか、知識ではなく経験に基づいたアウトプットがかっこいいとか。海外でチャレンジしていっている姿に憧れるとか。

そういうのを「たしかにそれはかっこいい...!」「わかる〜〜」「なるほど〜〜」という感じで話していくと、相手がどういう振る舞いや結果を"かっこいい"と思ったり"美しい"と感じたりするかがなんとなく掴めてくる。特定の技術で尖っていきたいんだなとか、色々幅広くできることをかっこいいと感じるんだなとか、チームで何か成果を上げていくことに興味があるんだなとか。もちろん完全にわかるわけはないのだが、なんとなく志向性くらいは見えてくる。x年後どうなっていたいかみたいな質問で聞くよりもずっと具体的にイメージできる。

エンジニアじゃなく両親やスポーツ選手、歴史上の人物をあげる人もいる。どういうところに憧れているかを聞いてみると、その人が大事にしている価値観の話ができる。

好きなアニメや映画の登場人物でもいい。自分はマイ・インターンのベンにも定年後の姿として強く憧れている。

「具体的な人物はいない」という人もいる。実は自分も昔はそうだった。「この人のこういうところかっこいいな、すごいな」という人が何人かいて、いいとこ取りしたキメラみたいな超人を頭に思い描いている感じ。この場合も、「どういう振る舞いがかっこいいと思うか」とか「一番自分もこういうことができるようになりたいと思ったエピソードはあるか」とか色々聞いていくと同じようにどうなっていきたいかのイメージが見えてくる。

雑談で話したあと、必ずしもすぐにマネジメントとしてアクションをとる必要はない。何か事業計画と重なりそうな領域があった時に、「前に話していたこういう憧れの話につながると思うから、このプロジェクトのリードをお願いしたいんだけどどうかな」「前にライブラリ公開するのに憧れるって話してたし、いっそこの処理を汎用化してライブラリにするところまでチャレンジしてみてはどうか」といった話をするための引き出しが増えるのが大事。

「憧れるけど別になりたくはない」と言う人もいるかもしれない。自分の能力や環境という制約を取っ払って考えていいなら "憧れ = こうなりたい" なんじゃないかとは思うが、まあこういう無意識下の思考の制約みたいな話も「憧れている人がいるか」という質問を切り口にして雑談してみるのがいいと思う。