「Python」の「GIL」廃止計画が、コミュニティーに波紋を広げている。技術的な課題について、PythonユーザーやPython創設者はどう考えているのか。
プログラミング言語「Python」において、データの整合性を保つ仕組み「GIL」(Global Interpreter Lock)が廃止されようとしている。GILを廃止することで、複数のCPUコアにまたがる処理が実行可能になる見込みだ。だがこの変更は技術的な課題だけでなく、Pythonコミュニティー全体に大きな影響を与える可能性があるという懸念の声がある。何が問題なのか。
GILの廃止が深刻な問題をもたらしかねない理由の、5つ目と6つ目は次の通り。
他のプログラミング言語から、GILを廃止したPythonに移行することは、不確実さを伴う。Pythonとそれを取り巻くツールはしばらく安定せず、PythonユーザーもGIL廃止の影響に対処するため、稼働中のPythonプログラムを書き直さなければならない。
一方で「Mojo」など、ランタイム(実行環境)がPythonと互換性のあるプログラミング言語の中には、既にGILを廃止しているだけではなく、追加機能を提供しているものもある。現状の、GILが有効なPythonで記述したソースコードが問題なく動作する代替言語もある。PythonコミュニティーがGILを廃止すれば、不安定な状況を懸念したり、代替言語に魅力を感じたりしたPythonユーザーが、Pythonから離れることが懸念される。
PythonからGILを廃止する際に起こり得る問題の一つは、恐らくうまくいかないことだ。「以前にも同じ試みがあったが、残念な結果に終わった。だから、私はGILの廃止にあまり力を入れたくない」――Pythonの生みの親グイド・バン・ロッサム氏は、2007年にこう発言した。2023年、コンピュータサイエンティストであるレックス・フリードマン氏のポッドキャストのエピソードで、ロッサム氏は当時に感じたことを繰り返した。専門家でさえ、GILの廃止がうまくいくかどうかに確信が持てていないということだ。
PythonからGILを取り除く試みが成功することを願っているが、筆者にとってその試みは大きな間違いのように思える。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、開発のノウハウや技術知識など、ITエンジニアの問題解決に役立つ情報を厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
物流向けアプリケーションの開発を行うMeeTruckでは、アジャイル開発でPDCAをスピーディーに回すことで、業界での支持を拡大している。そんな同社の躍進を支えているのが、豊富なAPIを誇るコミュニケーションプラットフォームだ。
斬新なアイデアで人気を博すレシート買い取りアプリ「ONE」を提供するWEDでは、認証機能の開発工数を削減すべく、あるクラウドコミュニケーションAPIを導入した。SMS認証機能の実装をわずか2日程度で実現した同ツールの実力を紹介する。
アナログで非効率な業務が多く残る建設現場では、デジタル化によるプロセス改善が、喫緊の課題となっている。現場DXを推進する具体的な方法を提案するとともに、ノーコードツールの導入で大きな成果を収めた事例を紹介する。
ビルメンテナンス事業を展開する裕生では、全社的にDXへの意識が低く、従業員の意識改革に課題を抱えていた。そこで、取り組みの契機とすべくノーコードツールを導入。業務アプリの活用により現場の業務はどのように変化したのだろうか。
深刻化するIT人材不足の課題解消の方法として、プログラミングコードを書かずに業務用モバイルアプリを開発できる「ノーコード開発」が注目されている。従来のスクラッチ開発との違いを比較し、メリットや導入のポイントを解説する。
なぜ、「kintone」が大企業の「Fit to Standard」に効果的なのか (2025/3/7)
ノーコードは、負の遺産であるアナログ業務をなくせるのか (2024/11/12)
手間もコストもかかるGUIのテストはどうすれば自動化できるのか (2024/6/4)
「システム内製化」が失敗しがちなのはなぜ? “従来のやり方”では駄目な理由 (2024/5/15)
金融機関のモダナイゼーション 最適解に導くには (2024/3/29)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...