みなさん初めまして!
北海道で専業大家をしているウンスケといいます。
アリアリさん、プーケット大家SAKUさんと2023年にプーケットに行った時に収録したアリアリワイドでの声の出演がきっかけで、今回僕のつたない失敗事例(?)を書くことになりました。どうぞよろしくお願いします。
僕が不動産投資を始めたのは2012年。「金持ち父さん貧乏父さん」を読んだことがきっかけでした。こんな世界があるのかと驚き、その後、当時はまだ少なかった不動産投資本を片っ端から読んで学びました。
その頃の僕は、地方公務員として町役場に勤務していました。当時はサラリーマンが借金してアパートを購入することは「非常識」と捉えられる感じで、最初の融資相談のため地元信組へ行くと、門前払いされました。
物件は木造1DK×4戸で600万円くらいというそれほど大きな金額ではなかったにも関わらず、「なんで公務員がアパート買うの?危ないからやめなさい!」と説教までされました(笑)
それでも粘り強く行動していると、一棟目として築20年のRC造で2LDK×14戸という物件を買うことができました。(利回り20%超というと聞こえがいいのですが、14戸中4戸しか入居しておらず任意売却物件でした)。
融資は日本政策金融公庫で、リフォーム代を含めてオーバーローンを借りることができました。ただ、当時は本当にお金がなかったので、諸経費の支払いの為に親に頭を下げて300万を借りました。
諸経費も払えないカツカツの状況で、RC20戸の中古物件を買ってしまったわけです。しかも、これが一棟目。この時点で良い子は真似してはいけないやつですね(笑)
この物件を仕事の合間にリフォームして、無事に半年後には満室になりました。お金がない状態で買った1棟目でしたが、なんとか形になって、毎月のキャッシュフローを生んでくれることになったのです。
この1棟目で、「不動産投資っていいなあ。この調子ならなんとかやっていけそうだ」という成功体験を得ることとなり、そこから僕のボロ物件投資遍歴が始まりました(笑)
もちろん、不動産投資はそんな行き当たりばったりでうまくいくものではなく、これまでにいくつもの失敗がありました。今回はその中から2つほど、ダメージがまあまあ大きかったものを紹介したいと思います。
■3棟72室の全空大型廃墟マンションをノールックで購入
財務省がやっている「公売」というものをご存じの方も多いと思います。公務員官舎等の国で所有している土地や建物を一般の人に売却する制度で、買いたい人は競売のように「入札」に参加します。
入札がなければ一定期間を置いたあと、早い者勝ちで買える「特別売却」に移行します。僕はある時にその公売で、ボロすぎて(?)誰も買わずにいた物件を「特別売却」で買うことになりました。しかも3棟。
①元公務員官舎(築50年超)、5階建てのRC物件、3DK×40室
②元公務員官舎(築47年)、4階建てのRC物件、3DK×24室
(↑この2つは2棟一括のまとめ売りで出ていた)
③元行員官舎(築47年)、2階建ての3LDK×8室
ネットでこの物件を見つけて面白そうだなと思ったのが理由です。この時もお金がなかったので、所有物件を2棟売却して現金を作り、3棟まとめて現金で購入しました。
金額は衝撃の激安457万円!
3棟全部でこの金額です。あまりにも安いのでつい油断して、ノールックで買い付けを入れてしまいました。
ここからが地獄の始まりでした(笑)。
きちんと調べないで勢いで買ったため、後から信じられないような事実が次々と発覚したのです。
その一つは、現状「水道供給不可」ということ。この場所には公務員官舎が5棟建っていて、別棟のポンプ室から全棟に水道供給されているのですが、僕の購入した物件には供給できないということでした。
僕はこの物件を直して賃貸に出すつもりでしたので、水道が使えないと困ります。焦って水道業者に見積もりを依頼しました。この規模だと施工できる業者が限られており、地元の公共工事等を請け負っている大きな設備会社にお願いしました。
僕はこのような工事を発注する時、ほとんど相見積もりを取りません。この業者さんなら大丈夫そうだな~と思ったら、その相手とよく話し合ってコストダウンの方法を相談します。
この時も良い感じの業者さんだったので、そのやり方でいくことにしました。早速、見積もりを出す為に物件を調査してもらうと、次のような指摘がありました。
・5階まで上げる水圧がなければ、途中加圧ポンプの設置も必要
・4階建ての方は、給水給湯管が全て腐食しているので引き直しが必要
・排水勾配も取り直しが必要等々
そして、すべてお願いした場合の見積もりは、6,300万円ということでした!(物件価格457万円ですよ!)。ここからコストダウンの方法を模索して、4,200万円まで圧縮できました。
運良く直圧で5階まで給水可能だったのが大きかったです。他に、モルコ管(ステンレス管)をやめて銅管に変更したことなどで、3割強の工事費圧縮に成功しました。
次にストーブ、給湯器、バランス釜など設備品を追加で購入しました。ヤフオクで落札しまくったため、そのせいでこれらの商品が品薄になり、一人で相場を爆上げさせてしまいました(笑)
給湯器で50台以上、ストーブで72台必要だったんです(笑)
単純に、給湯器単価2万、ストーブ単価3万として300万円超え!
4階建ての1棟はバランス釜を撤去して給湯器にコンバージョン。これも高所作業車によるせん孔工事、中古給湯器設置工事で250万円位はかかっています(^^;)
更に、内装工事にも1,200万円程かかりました。合計すると6,000万円は軽く超えることになります(物件価格457万円ですよ!)。
問題は融資で、地元信金、信組に相談するもNG。ここで融資が出なければヤバいことになります。地元大家仲間の間では「ウンスケ終わった説」がまことしやかに囁かれていたらしい(笑)
それでも、藁をもすがる思いで、当時独立して不動産屋を立ち上げたばかりのU社長に泣きついて地銀まで同行頂き、奇跡のリフォーム融資5,200万円を借りられることになりました。
その後、信金、公庫、信組からも計990万円追加融資に成功し、何とかリフォームを完成することができました。
■月120万のキャッシュフローの優良物件に!
建物が完成したら、次は入居付けです。前出のU社長に全面協力頂き、更に地元〇イブルさんにも全面協力頂けたことで、こちらは募集数カ月で20戸程埋まりました。
募集条件は、敷金礼金なし&家賃ぶっちぎりの地域最安値(3DKで単身生活保護の基準額に設定)。それでも利回りは30%を超えるのでヨシとしました。
しかし、空室の残りが上層階ばかりになると、少しずつ埋まりにくくなりました。やはり階段での4階、5階は不人気ですね。
それでも目標は満室です。そこで、禁断のジモティーに手を出してみました。その結果、十数戸の入居がジモティー経由で決まりました(お決まりの滞納率の高さ、夜逃げ率の高さは圧倒的でしたが…)。
いろんな住人がいました。真っ赤なベンツに乗って極道の妻と逃げてきたお兄ちゃん、ポン中で塀の中に入ったおじさん、飲み屋では羽振りがいいのに滞納する生保の方(汚部屋にして夜逃げ)。
カップルで入居したのに女性の男友達が同居していたお兄ちゃん(ここも滞納&夜逃げ)、春先になるとやたらと「アリが出た、アリが出た」と言ってくる虫嫌いのおばちゃんなどなど。
滞納者と不良入居者はリンクするものです。自主管理をしている私は毎月のように彼らとやり取りすることになったので、数々のエピソードとその人物像が頭に刻みついています。
話を戻すと、買ってから5年が過ぎたころ、3棟72戸中、空室は最上階の数戸だけになりました。「ウンスケは終わった」とささやかれた水道もない築古物件は、ドル箱物件に変貌しました。
なんと、月の収入が180万超で返済が60万程!
この3棟だけで、月120万のキャッシュフロー(税金、修繕費等含めず)が得られるのです。
■2棟64室を売却に出してみた
そんな感じで運営は順調でしたが、自分の年齢(50代半ばを過ぎた)や不動産投資に目覚めた長男への相続等を考え、数年持ったところで同一敷地の2棟64室を売りに出してみることにしました。
うちには魔法使いのような嫁がいるのですが、「その金額ですぐ売れるよ~」と言うので1.1億円で売りに出しところ、本当にその価格で売却できました(物件価格457万円ですよ!)。
今振り返っても、ジェットコースターのような経験でした。途中で諦めなくてよかったです。
前編では大型ボロマンションの購入から売却までを書きました。まだまだ色々な失敗経験がありますので、明日の後編ではまた別のエピソードを紹介したいと思います。