欧州国際書店連盟(EIBF)による欧米・オセアニア19カ国を対象にした「RISE消費者行動調査2023年12月」では意外にもイタリアが調査国内の読書率・購買率ともにトップだった。だが日本人の多くはイタリアの出版・読書について何も知らない。イタリア出版者協会(Associazione Italiana Editori, AIE)の各種調査から知られざる読書大国・イタリアの実態を紹介したい。
イタリアの書籍市場
まず書籍市場の動向だが、2024年は半期で6.76億ユーロ(約1000億円)で、ここ数年はインフレを考慮しても安定している。Nielsen BookScanによる年間の売上は年間約16.97億ユーロ(約2748億円)なのでニールセン調べの方がやや上振れしているのだが、こちらも安定を見せている。なお電子書籍は8000万ユーロ(130億円弱)、オーディオブックは2800万ユーロ(約45億円)にすぎない。


日本では紙の本の市場は年々減っているが、欧米ではイタリアのように安定している国が多い。AIE調査では読書率は2023年時点で68%で、RISE調査だと94%だったのであまりにも差が大きいのだが……こういう調査では聞き方、調査方法、調査対象者によって大きく変わるのは普通のことではある。読書率は低減傾向にはない。つまり書籍の市場は堅調だし、読書も堅調である。

販売チャネルの市場シェアはリアル書店53.7%、オンライン書店41.7%、大型小売店(Grande Distribuzione Organizzata.GDO.総合スーパー、ハイパーマーケット、デパート、あるいは高速道路のサービスエリア「オートグリル」などを指す)4.6%。これはたとえばフランスと比較すると、フランスではオンライン書店のシェアは22.2%、大型専門店+リアル書店が5割くらい、ハイパーマーケット/スーパーマーケット18.1%だから、イタリアのほうが購買チャネルのオンライン比率が高い(日本と比べても高い)。