映画「Black Box Diaries」は、伊藤詩織さんが性的暴行の被害を訴えたことについて、刑事手続きでは不起訴処分となったものの、その後、民事裁判で「性行為に同意がなかった」と認められるまでの過程を記録した作品で、伊藤さん自身が監督を務めました。

伊藤詩織さんが謝罪 自身が監督の映画 一部差し替えへ
ことしのアカデミー賞にノミネートされている、伊藤詩織さんが監督を務めたドキュメンタリー映画をめぐり、許諾が得られていない映像が複数使用されているなどと指摘されていることについて、伊藤さんは、謝罪するとともに、個人が特定できないように差し替えるなどの対応を行う考えを示しました。

映画をめぐっては、許諾が得られていない映像が複数使用されているなどと指摘されていて、20日午前、都内で伊藤さんの民事裁判の元代理人の弁護士らが会見を開きました。
この中で、元代理人らは、
▽現場となったホテルの防犯カメラの映像が使用されているが、裁判以外では使わないとして提供を受けたもので、今後、性被害にあった人たちの救済に影響を与える可能性があることや
▽許諾のないまま作品に登場する人が複数いて、取材源の秘匿も守られていないことなどをあげ、
「人権・倫理上の問題がある」などと訴えました。
これについて、伊藤さんはコメントを発表し、「映像を使うことへの承諾が抜け落ちてしまった方々に心よりおわびします。最新バージョンでは、個人が特定できないように、すべて対処します」と謝罪し、今後、差し替えなどの対応を行う考えを示しました。
一方、防犯カメラの映像については、ホテルから承諾が得られず加工して使用したと説明したうえで、「公益性を重視しました。性加害の実態を伝えるためには、どうしても必要だった」としています。
この作品は、アメリカのアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされていて、発表は日本時間の3月3日に行われる予定ですが、日本での公開は現時点で決まっていません。