世界11カ国のシンクタンクの代表らが参加する国際会議「東京会議2025」が4日、東京都内で開かれ、会議の最高顧問である岸田文雄前首相が基調講演を行った。ロシアとウクライナの和平交渉について「侵略されたウクライナの声が反映されず、侵略した側の言い分に同調するだけでは地域の平和は不安定なままだ」と述べ、交渉を進めるトランプ米大統領にくぎを刺した。
岸田氏は戦後80年の節目の今年、世界で自国利益を優先する声が強まり、先進7カ国(G7)の結束に不安があると指摘。和平交渉で米欧が対立すれば「価値観の異なる他の権威主義国を勝ち組にしてしまう」と語り、国連などの関与強化を求めた。「日本も和平への働きかけを強めるタイミングだ」とも訴えた。
会議は民間シンクタンク「言論NPO」(工藤泰志代表)が主催。日米独仏やインド、ブラジルなどの専門家が参加し、「国連創設80周年に問われる国際協調と平和の修復」をテーマに講演や討論が行われた。
インドネシアのユドヨノ元大統領らも基調講演。国連のグテレス事務総長もメッセージを寄せ、戦後80年の今年は「人類の暗い時代から生まれた確固たる不変の原則を再確認する重要な機会だ」と述べ、国際法の尊重や多国間主義の重要性を訴えた。(桑村朋)