最薄マイクロファイバーの3Dプリントに成功。ヒントは魚の粘液

  • author Margherita Bassi - Gizmodo US
  • [原文]
  • 高橋真紀
  • X
  • Facebook
  • LINE
  • はてな
  • クリップボードにコピー
  • ×
最薄マイクロファイバーの3Dプリントに成功。ヒントは魚の粘液
Image: The Canadian Press

やはり母なる自然が、最も偉大なエンジニアってことですかね。

3Dプリントで、めちゃくちゃうっすいマイクロファイバーの印刷に成功したようです。その厚さわずか1.5ミクロン。ちなみに人の髪の毛は、50~80ミクロンほどです。

3Dプリントの限界突破

国際的な研究者らが参加するチームが開発した「埋め込みプリント(Embedded Printing)」と呼ばれる新技術は、シリコン型に材料を注入します。下から一層一層積み上げていく従来の3Dプリントより複雑な構造が可能になります。

とはいえ埋め込みプリントでも、16ミクロン未満の非常に薄い構造は、固まる前の硬化と呼ばれるプロセス中に壊れてしまうのがほとんどです。

Video: MechSE Illinois / YouTube

研究に参加したイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のエンジニア、Mohammad Tanver Hossain氏は

ゲルと印刷インクを改良し、インクがゲルに付着するとすぐに硬化するようにしました。こうすることで、フィラメントがほぼ瞬時に固まるため、切れるのを防ぎます。

と、大学のリリース文で述べています。

魚のヌルヌルした粘液がヒントに

研究チームのメンバーらは、ヌタウナギが出す粘液からヒントを得たとコメントしています。

ヌタウナギとはヌルヌルとした粘液が特徴の魚で、別名「鼻水ヘビ(snot snake)」と呼ばれることもありますが、ヘビでもウナギでもありません。この粘液は、捕食者からの自己防衛、さらには攻撃にも役立ちます。ヌルヌルの多用途性は注目されていて、米海軍もミサイルの防御材料としてこの粘液を開発することに興味を持っているそうです。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のエンジニアで、この研究の共著者でもあるSameh Tawfick氏は、

埋め込みプリントにすることで、このように細くて柔軟な毛でも重力による下向きの力にも作用されず、さまざまな形状の毛を生成できるようになります。これにより、超精密3Dプリンターを使用し、細い直径を持つ複雑な3D毛の作成も可能です。

と、コメントしています。

研究論文は、オープンアクセスの学術誌Nature Communicationsにて公開されています。