民間の調査会社「帝国データバンク」が国内の主な食品メーカー195社を対象に行った調査によりますと、来月、値上げされる食品は4225品目に上り、おととし10月以来、1年半ぶりに4000品目を超えました。
主な品目ではみそやドレッシングなど「調味料」が2034品目と最も多く、次いで、缶ビールや缶チューハイ、コーヒーなどの「酒類・飲料」が1222品目、ハムやソーセージ、冷凍食品などの「加工食品」が659品目などとなっています。
“値上げの春” 食品は4000品目超 住宅ローン金利も引き上げ
4月、値上げされる食品が1年半ぶりに4000品目を超えることが民間の調査会社のまとめでわかりました。ことしは人件費や物流費の上昇を理由に去年を上回るペースで値上げが続いていて、少なくとも夏にかけて値上げラッシュが見込まれるとしています。
調味料や酒類・飲料など 食品の値上げ4000品目超える

調査会社によりますと、原材料の調達コストの増加に加えて、人件費や物流費の上昇などを値上げの理由にあげるメーカーが多いということで、ことしに入って去年を上回るペースで値上げが続いています。
また、ことし1年間の値上げはこれまでに公表されているものだけでも1万1707品目に上る見通しで、すでに去年1年間の実績の9割を超える水準に達しています。
帝国データバンクは「人件費や物流費などのコスト増を要因とする値上げがトレンドとなっていて、少なくとも夏にかけて断続的な値上げラッシュが見込まれる」としています。
スーパーでのコメ価格 高値続く 去年同時期の2倍超

農林水産省は全国のスーパーおよそ1000店でのコメの平均価格をまとめ、毎週、公表しています。
それによりますと、3月17日から23日までの1週間の平均価格は、5キロあたりの税込みで4197円でした。
前の週より25円上昇し、12週連続の値上がりとなりました。
去年の同じ時期は5キロあたり2041円で、1年前の2倍を超える高値が続いています。
また、合計の販売量は去年の同じ時期より7.6%減少しました。
政府の備蓄米のうち、初回の入札で落札されたコメは順次スーパーなどの店頭に並び始めていて、次回以降の調査でコメの価格がどのように変化するかが焦点となります。
卵も値上がり 3月としては2番目の高値

卵の卸売価格の目安となる「JA全農たまご」の東京地区の3月の平均価格は、Mサイズ1キロあたり327円でした。
先月に比べ12円高く、統計を取り始めた1993年以降、3月としては2番目の高値です。
このほかの地域でもMサイズ1キロあたり300円を超えていて、大阪地区は312円、名古屋地区は339円、福岡地区は312円と、先月に比べて最大16円の値上がりとなりました。
農林水産省は、先月上旬まで全国で鳥インフルエンザの発生が相次いだ影響で、卵の供給量が落ち込んでいるためだとしています。
東京地区の卸売価格の平均は去年の夏頃から上昇傾向が続いていて、先月、300円を超え、今月さらに値上がりした形です。
農林水産省は春の行楽シーズンは卵の需要が増える傾向にあるとして、卵の高値はしばらく続くのではないかとしています。
卵もコメも高値 うどん店の経営に影響

卵の価格上昇は、毎日、多くの卵を使う香川県のソウルフード「さぬきうどん」を提供するうどん店の経営にも影響を与えています。
高松市のうどん店では、ゆでたてのうどんに生卵をからめてだし汁で食べる「釜玉うどん」と、ゆで卵に衣を付けて揚げた天ぷらが人気です。
店によりますと、高松市内にある6つの店舗では、1日あたり合わせて200個余りの卵を使うということですが、ことし3月の仕入れ価格は10キロあたり3430円と、去年の同じ時期と比べておよそ1.5倍に上昇しているということです。
仕入れ価格を抑えるため、卵のサイズを小さくすることも検討しましたが、うどんと生卵がバランスよく絡み合い、おいしく食べられるのが「L」サイズのため、サイズ変更はできないといいます。
厳しい状況に追い打ちをかけているのがコメの価格高騰です。
このうどん店ではサイドメニューとして「おにぎり」や「いなり」を提供していて、1か月に仕入れるコメの量は、6つの店舗合わせておよそ400キロに上ります。
仕入れのたびに価格は上がり、いまでは10キロあたり5200円と、去年の同じ時期と比べて1700円も高くなっているということです。
ただ、去年11月、光熱費の高騰に伴い、すべてのうどんの価格を一律50円値上げしたため、再び値上げはできないといいます。
このため、こまめに電気やガスを消したり、油などをまとめて購入したりして経費を抑える工夫をしているものの、限界はあるといいます。
うどん店を経営する坂枝繁社長は「卵とコメの仕入れ価格が高くなっていて、さぬきうどん店としてはダブルパンチだ。安くてうまいさぬきうどんは香川県の文化でもあるので、厳しい状況だが頑張るしかない」と話していました。
住宅ローンの変動型金利 相次ぎ引き上げ

住宅ローンの変動金利は、金融機関の短期の貸し出し金利の基準となる「短期プライムレート」に連動する形で見直しが行われます。
大手銀行は31日、4月適用する住宅ローンの金利を発表し、新規の借り入れを対象にした変動型の金利は、最も優遇する場合で、
▽三菱UFJ銀行が3月の0.345%から4月は0.595%に引き上げます。
▽三井住友銀行は3月の0.625%から4月は0.925%に、
▽みずほ銀行は3月の0.375%から4月は0.525%に、それぞれ引き上げます。
▽りそな銀行が3月の0.39%から4月は0.64%に、
▽三井住友信託銀行が3月の0.48%から4月は0.73%に、それぞれ引き上げます。
これは日銀のこれまでの利上げを受けた動きで、各行はすでに住宅ローンを借りている人の変動金利も引き上げ、数か月後の支払いから反映するということです。
一方で大手銀行の間では普通預金の金利の引き上げも相次いでいて、日銀の利上げをきっかけに金利のある世界となり、暮らしにさまざまな影響が出ています。
借り換えの相談も 住宅ローン金利への関心高まる

日銀が利上げを進める中、住宅ローンを借りている人や今後借りる人の間で金利への関心が高まっています。
3月、ネット銀行が都内に開いているローンの相談拠点を訪れた30代の女性は7年前に別の銀行で35年の期間で変動型の住宅ローンを契約しましたが、今後、金利が引き上げられて返済負担が増えるのではないかと考え、借り換えの相談に訪れていました。
この女性は「金利が上がるようなので住宅ローンの見直しの相談に来ました。返済期間も残っているので繰り上げ返済を含めどうすべきか考えていきたいです」と話していました。
また、埼玉県内に住む30代の男性は今月、都内にある銀行で住宅ローンを契約しました。
返済期間35年の変動型の金利で、ローン残高のうち銀行に預けた預金と同じ金額には金利が適用されない「預金連動型」と呼ばれる住宅ローンを選んだということです。
この男性は「毎日のように金利について報道があったので、注意して確認していました。今後は、金利が上がるのか下がるのかわからない部分もありますが住宅ローンは預金連動型がいいと思い、契約しました」と話していました。
金融機関の間で住宅ローンめぐる競争が激しく
金融機関の間では利用者の金利への関心の高まりを受けて、住宅ローンをめぐる競争が激しくなっています。
地方銀行などでは、銀行に預ける預金が増えるほど住宅ローンの金利負担を抑えられるとする「預金連動型」と呼ばれる住宅ローンを扱うところも出ています。
ローンの残高のうち預金の額と同じ金額には金利は適用されないという商品で、預金を手元に残したうえでローン金利の負担も減らしたいという人の契約を見込んでいるということです。
また、ローンの返済期間を50年にできる商品を扱う銀行も出ています。
返済期間が長くなるため支払う利息の総額が増えたり、変動金利の場合には金利上昇の際の影響が大きくなったりするおそれがありますが、住宅そのものの価格が上がる中で、月々の返済負担を抑えたいという人の契約が増えているということです。
また、借り換えで住宅ローンを契約する際、自行の口座を給与の振込先とするなど一定の条件を満たせばローンの金利を引き下げるという動きもあり、金融機関の間で競争が激しくなっています。
専門家「金利に生活のスタイルあわせることが重要」

住宅ローンの動向に詳しいニッセイ基礎研究所の福本勇樹金融調査室長は「日本では金利のある状態に慣れていない人が多い。今後の金利の動向についての意見も大きく分かれている状況だ」と指摘しました。
そのうえで、住宅ローンの利用者が注意すべきことについては「ある程度金利が上がっても大丈夫なように繰り上げ返済に備えてお金をためておくなど、家計を管理していく、金利に生活のスタイルをあわせていくことが重要になってくると思う」と話していました。