中国が報復措置、全ての米国製品に34%の追加関税 10日発動

米中、関税率115%ポイント引き下げで合意:識者はこうみる
 5月12日、米国と中国は両国の貿易問題を巡り10─11日にスイスのジュネーブで行った閣僚級協議で、相互に発動した関税率を115%ポイント引き下げることで合意したと発表した。写真は米中の国旗のイメージ。3月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
[北京 4日 ロイター] - 中国財政省は4日、米国の相互関税への対抗措置として10日から全ての米国製品に34%の追加関税を課すと発表した。
2日にトランプ米大統領が発表した中国への追加関税と同率を適用した。
中国はまたレアアースのうち中・重希土類について、米国への輸出を4日から規制すると発表。さらに、防衛関連産業を中心とする複数の米国企業にも制限を課した。
商務省は声明で「安全保障と国益を保護し国際的義務を果たすための措置」と説明。米企業16社を輸出管理リストに追加し、対象企業への民生・軍事双方に使用可能な品目(両用品目)の輸出を禁止した。影響を受けるのは、防衛や航空宇宙産業などの15社と、過去にトランプ政権に米国経済を中国から切り離すよう提唱していた非営利団体「Coalition For A Prosperous America」。
このほか制裁措置を講じることができる国外の「信頼できないエンティティー・リスト」に米国の11団体を追加した。対象には米ドローンメーカーのスカイディオやBRINCドローンズが含まれる。台湾への武器売却を巡る措置だという。
中国は、電気自動車(EV)など先端技術に欠かせないレアアースの約90%を生産しており、米国はレアアースの大半を中国に依存してきた。
コンサルタント会社アダマス・インテリジェンスのライアン・カスティーユ氏は、ジスプロシウムやテルビウムを含む高性能レアアース磁石への輸出規制は、国外の産業や防衛部門に大きな打撃を与えると指摘。「限られた代替供給源へのアクセスを巡る争奪戦を引き起こすだろう」と述べた。
IKONコモディティーズのアドバイザリーサービス部門のディレクター、オレ・ホウエ氏は「34%の関税が賦課されれば、米国の農産物は中国に輸入できなくなる」と指摘。その上で、ブラジルやオーストラリアのような他の輸出国にとっては、中国での市場シェア拡大の好機になると述べた。
米国の貿易データによると、中国の最大の対米輸入品目は大豆、油糧種子、穀物で、2024年の総額は134億ドルに上る。
トラディション(ロンドン)の市場・株式ストラテジストは、米国の関税に対し中国は攻撃的に対応しているとし、「これが終わる見込みは薄く、市場はネガティブに反応している。投資家は貿易戦争の報復合戦を懸念している」と述べた。
トランプ大統領は「中国はパニックに陥り、間違った対応をした。中国はこうしたことは絶対に避けるべきだった!」と自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。 もっと見る
The line chart shows top three export destinations of the United States.
The line chart shows China's exports to the U.S. and China's imports from U.S. along with the trade balance.

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