【独自】障害ある乗客に「ただやけん、乗れる」 バス運転手が暴言、「もう降りれ」手を振り威圧
熊本県荒尾市内を循環する産交バス(熊本市)の路線バスで2月、障害のある荒尾市の70代女性が、運賃が無料になる市の乗車証を示して降りようとした際、60代の男性運転手(当時)から「ただだから乗っている」などと暴言を受けたことが分かった。女性の親族が抗議し、同社はドライブレコーダーなどで事実を確認。小柳亮社長が女性側に謝罪した。同社は「不適切な発言で不快な思いをさせてしまい心からおわびしたい」としている。 【写真】女性が暴言を受けたのと同じ系統番号の循環バス 女性はリウマチ性疾患のため手足が不自由で、つえを使って歩く。重度障害のある人が、市内を走る産交バスに無料で乗れる市の独自事業の「福祉特別乗車証」を利用している。 親族と同社によると、女性は2月28日午後、荒尾市の商業施設のバス停を発着する循環バスに乗車。JR荒尾駅が目的地だったが、昨年12月のダイヤ改正で駅前を通らなくなった路線に乗ったことに気付いた。このためバスが商業施設に戻った際に、駅前に行くバスに乗り換えようとした。 運転手は、循環バスで1周した女性を見て目的もないのに乗ったと曲解。女性が乗車証を示すと「何か言うことはないのか」と強い口調で詰問した。女性が乗り間違えたと説明しても「ただやけん、暇やけん、乗られてですたい(乗れるのだ)」と運転手は畳みかけた。動転した女性が乗車証を落とし拾おうとしていると、追い払うように手を2回振り「もう降りれ(降りろ)」と威圧したという。 精神的なダメージを受けた女性は親族に相談。親族が同社に抗議した。調査した同社は3月、乗客に不適切な言葉を使い、反省もしていないとして運転手を懲戒処分(内容は非公表)にし、小柳社長が親族に直接謝罪した。再雇用だった運転手は契約期間が満了した3月末で退社したという。 (宮上良二)
西日本新聞