IT人材不足、40代にも拡大 “就職氷河期”の代償が表面化(1/2 ページ)

» 2025年04月21日 18時10分 公開
[産経新聞]
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 携帯電話大手やIT大手などの労働組合が加盟する情報産業労働組合連合会が21日に公表した「ITエンジニアの労働実態調査結果」で、40代の人材が不足していると回答した企業が6割超に上り、5年前の約2倍に急増していることが分かった。

photo 40代のIT人材の不足が急増している(2024 ITエンジニアの労働実態調査結果)

 「就職氷河期世代」にあたる現在の40代の不遇が長期間にわたって続いた結果、人手不足の年齢層が40代にまで拡大した形だ。多重下請け構造で、中小企業ほど、賃上げや価格転嫁をしにくい実態が浮き彫りとなっており、諸外国と比べ低賃金が深刻化している。

 同調査は、新型コロナウイルス禍の2020年を除き、1993年から毎年実施されており、今回で31回目。186社が回答した。

 年齢別でみると、人材が不足していると回答した企業が最も多いのは30代で88.7%。20代が63.1%、40代が62.3%と続いた。

 40代は過去の調査で2017年が27.6%、19年が31.6%となっており、直近の5年で約2倍に急増した。同連合会は「過去10年以上(不足が多い)30代の雇用が進まず、40代にまで人手不足が広がった」と指摘している。

 一方、20代の人材不足感は19年の72.2%から約9ポイント改善した。

 初任給の引き上げについては、7割の企業が実施している。ただ、従業員1000人以上では95.0%が実施しているのに対し、100人未満では54.1%にとどまっている。引き上げ額についても、1000人以上は2万円を超えたが、100人未満は約1万円で倍以上の差があった。

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