SNSの急速な普及により、誰もが容易に情報にアクセスし、また発信できる時代となった。しかし、その手軽さの裏側で、情報の真偽を見極める難しさや、誤情報が瞬く間に拡散されるリスクも高まっている。特にデジタルネイティブと呼ばれるZ世代は、SNSを主要な情報源とする傾向が強い。彼らはどのように情報と向き合い、情報の確からしさを判断しているのであろうか。
Xで情報収集はスピード優先、「出典」は後回し
Z世代に特化したクイックリサーチサービス「サークルアップ」が行なった「X社の生成AI、Grok」に関する調査によると大学生の69%が「Xでニュースを読む」と回答した。しかし、その中で出典を「毎回確認する」と答えたのはわずか13%だった。
「タイムラインに流れてくるまとめで十分」「タイトルとリポストだけチェックする」とニュースを読むと回答した学生は答えており、情報収集のスピードを優先しているようだ。
「Grok」を知っているが、使ったことはない
Xの生成AI「Grok」は、リアルタイム情報をもとにした回答の生成や、質問への回答、画像生成といった機能を提供している。中でも、Xのポストに「@Grok ファクトチェック」とコメントすると情報の精査をしてくれる機能は一時話題となった。
そんなGrokについて、名前を聞いたことがある学生は63%と6割を超えているにも関わらず、実際に使ったことがある人は16%にとどまっている。

「見る専(自分で投稿などはしたりしない)なので使わない。他人が使用したものを見ることができるので自分では使おうと思わない」といった利用への消極的な声や、「本当に正しいか自信がない」といった正確性への不安もあがった。
一方で、Grokを使ったことがある学生によく利用された機能は、「投稿への質問」が20%で最多となり、次いで「画像生成・編集」が15%、「ファクトチェック」は11%だった。
Grokのチェック結果を見て満足してしまう
特筆すべきは「Grokのファクトチェックだけを見て記事まで読まなかった」経験がある学生が24%いたことだ。また、「バズった投稿にファクトチェックが多いことを知っている」学生は51%に上る。これは、Grokのチェック結果を見て満足してしまい、元の記事を深読みしないパターンが存在することを示唆している。
「一見、確からしい情報を提示してくれるので自分でチェックしようと思わない」「少し気になる程度のニュースであれば、転載元は確認しない」とZ世代の学生がGrokを信頼していることもわかる。「本当っぽい」答えをすぐに出してくれる存在は、Z世代にとって大きく映るようだ。

今回の調査を通じて、Z世代の大学生がXに頼って情報収集する一方で出典を追わない傾向があること、Grokの認知度は高いものの利用率は限定的であること、そして利用する際もチェック機能よりも遊び用途が人気であることといった、Z世代ならではの情報消費とGrokの使用方法が明らかになった。
拡散スピードが速いSNSでは、真偽不明の情報もすぐに広がる。Z世代にとっては、Grokや出典リンクを「とりあえず開く」だけでも、情報の精度は上がる。手軽さを強みにしながら、ひと呼吸おいて裏を取る習慣を作ることができれば、SNSはもっと安心して使えるツールになるはずだ。