
不同意性交の疑いで逮捕され、その後不起訴処分となった佐野海舟選手の事案に関連して森保一監督が「ミス」と発言したことに対し、批判が起きている。
森保監督は5月23日に開いた記者会見で、6月に行われるワールドカップ・アジア最終予選の日本代表を発表。新たに加わったメンバーには、佐野選手も含まれていた。
佐野選手は約1年前の2024年7月に、知人の男性2人と共謀して東京都内のホテルで女性に性的暴行を加えたとして不同意性交容疑で逮捕され、その後不起訴になった。
森保監督は5月23日の会見で、「佐野海舟の事案に関しては多くの方々に迷惑をかけた」としつつ、「彼の言動を見ていても深く反省しているというところを強く感じ、真摯に競技に向き合って社会に貢献するという強い気持ちを持ってプレーしている」と説明。
「我々としても、チームに迎え入れて社会に貢献する日本代表の一員として戦ってもいいのではないのかなという判断をさせていただいた」と述べた。
さらに、「個人的にはミスを犯したと言えるかもしれないですが、チームの一員を家族と考えた時に、指導者としてミスを犯した選手をそのまま社会から葬り去るのか、サッカー界から葬り去るのかということに関しては再チャレンジする道を、家族としても与えることの方が良いのではないのかと判断した」とも付け加えた。
この森保氏の発言に対し、「性暴力をミスと表現したことに驚いた」「性犯罪は『ミス』ではない」「男性社会による性暴力の軽視ではないか」「女性に対する意識を象徴している」「サッカーが好きだからこそ黙っていられない」などの指摘がSNS上に上がっている。
批判を招いた森保氏の発言について、日本サッカー協会(JFA)は「森保監督は『性犯罪をミス』と表現したわけではなく、佐野選手本人が『たくさんの方々にご迷惑をお掛けしてしまった』として話しておりますので、そうしたご迷惑をお掛けしたこと自体についてミスという表現をしております」とハフポスト日本版の取材に回答した。
JFAが佐野選手の代表復帰を決めた理由
5月23日のメンバー発表記者会見では、JFAの山本昌邦ナショナルチームダイレクターも、佐野選手の選出に関する質問に回答。
代表メンバーに加えた理由として、①相手の方に対して謝罪し話し合いをしたことを確認している ②本人が深く反省している ③検察が不起訴処分と判断し、刑事事件としては罪に問われずに終了しているという点を挙げた。
また、山本氏は「JFAのスタンスは、サッカー界としてあらゆる差別や暴力、ハラスメントを一切許容しないということです。引き続き、あらゆる差別や暴力、ハラスメントに対して厳正な姿勢で臨み、一切の妥協も許さないゼロ・トレランスを目指す」とも述べている。
佐野選手は5月28日に記者団の取材に応じ「自分の行動によってたくさんの人々にご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ありませんでした」と謝罪。「認識の甘さ、行動の部分での甘さはあった、そこをどう直していくかを今考えている」と述べた。
また、代表復帰に関して「支えてくれている皆さんのためにサッカーをやらなければいけない、自分一人のサッカー人生でないと思っている」「自分に対する賛否はあるとはわかっている。日本のサッカーのために戦うしかないと思っている」と語った。